君と見たあの空を (ページ31)

今日:12 hit、昨日:8 hit、合計:18,236 hit

031 ページ31

隣で、「めちゃくちゃいい香り」なんて言って目を輝かせている玲於くんに少し笑う。

「あ、さっきの映画の話だけどこれ見たことある？」

そう言って見せてきたのは私がずっと見たいと思っていた映画のDVD

『ない。それすごい見たいと思ってたやつ』

眼前にあるDVDを見つめながらそう答えれば

やっぱり？と見透かしたように笑って

じゃあ今から一緒に見ようなんて魅力的なお誘いをされる。

見たい。

正直すごく見たい。

ずっと見たくて、でも時間がなくて見れていなかったもの

折角のオフに見ないという選択肢はない。

だけど、これ以上長居するのはよくない気がする。

玲於くんにも迷惑だし、それ以上に男性の家に長々と居座るのもどうかと思う。

DVDは持っていないけど家に帰ってサブスクでみればいい。

そうだ、別にここじゃなくても見れるじゃないか。

そんな事を考えていたら「Aさん」と名前を呼ばれた。

グルグルと思考していたところから戻ってきた意識

名前を呼んだ玲於くんの方をみれば

「一緒に見て感想いいあった方が楽しいと思うけど？」

考えを読んだかのように悪戯に私を誘惑する彼

甘いその囁きはクラクラと脳に響いて思考を鈍らせた。