君と見たあの空を (ページ4)

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「うわぁ」

『わっ』

ライブが終わり、挨拶に行こうとスタッフさんに連れられ控え室前までやってきていた。

閉まっている扉をノックしようと手を上げたところで

叩こうとした扉が消える。

予期せぬ出来事に驚いて声を出し、そのまま固まった。

『……あ、すみせん』

しかし、それも一瞬で、退かなければと思い直して頭を下げながら後ろに下がれば

「あ、あれ、宮さん？」と戸惑ったように名前を呼ばれた。

『え？』

声の方に顔を向ければ

いつか、亜嵐が高校の後輩だと写真を見せてくれた小森さんが立っていた。

「あ、ごめんなさい、いきなり。小森です。」
　

ぼーっとしている間に自己紹介を済まされ

小森さんは「いやー今日いらっしゃってたから来てくださるとは思ってたんですけどー」

なんて言ってマシンガンのように喋り倒しながら流れるように楽屋に招き入れてくださる。

「すみません、亜嵐くんシャワー行っちゃってるんで

帰ってくるまでここで待っててもらえます？出来るだけ早く出るように言ってくるんで」

と言って気を使ってくださる小森さん

『すみません、そんなタイミングで来てしまって
疲れてるでしょうし急いでいただかなくて大丈夫ですよ』

「いやいや、全然！宮さんを待たせるなんてできません」

大袈裟に首を振りながら笑ってそう言う優しい彼の背中を見送って

部屋の中で1人ホッと息を突いていると暫くして扉が開く音がした。

確認すればそこには上裸の佐野さんが。

「あ。」

『……はじめまして宮Aです。』

　

扉の前で私を見とめて驚いた声を出した佐野さんと

いきなりの上裸での登場に一瞬固まった私。

お互い無言で数秒バッチリ目を合わせて見つめ合い、ふと我に帰って挨拶をする。

すると佐野さんも挨拶を返して下さって

お互いにいつもお世話になってますって亜嵐くんの事でペコペコとお辞儀をし合った。