君と見たあの空を (ページ26)

今日:4 hit、昨日:8 hit、合計:18,228 hit

026 ページ26

時計の針が12時を指した頃

寝すぎるのもよくないと言うし

そろそろ起こすべきかと立ち上がった。

寝室の扉を開けるとさっきとほぼ体勢の変わっていない宮さんがぐっすりと眠っていて

起きそうもない彼女に声をかける

何度目かの呼びかけで一瞬眉根を寄せた後ゆっくりと目が開いた

視線を何度か彷徨わせたあと身体を捩らせたところで声をかける

「おはようございます」

バチリと合った目は驚いたように見開かれていて思わず笑う

揶揄うように寝起きの様子について突っ込めば恥ずかしそうに顔を赤らめた彼女

普段のクールな印象とは随分と掛け離れた反応は新鮮だった。

ご飯を食べようと言って寝室から連れ出し

洗面所の場所を教える

きっとシャワーも浴びたいだろうからと事前に用意した部屋着の位置を教えて

シャワーを促すと案の定全力で遠慮してくる宮さん

そうは言ってもメイクも落とさずに寝かせてしまったから本当は早くスッキリしたいだろう

そう思い困り顔でシャワーを断ろうとする彼女をなんとかいいくるめて

キッチンに向かって昼食を作る

と言っても普段料理なんてしないから

あったパンを焼いて目玉焼きを焼いてみた。

なんとか黄身も崩れずにいい感じの形で固まってくれた目玉焼き。

裏面が若干焦げてる気がするけどまぁ大丈夫でしょ

出来上がったものを机に並べていると

『おはようございます』

そう言って控えめに入室してきたすっぴんの宮さん

いつもより随分と幼い印象の彼女はなんだかとても可愛らしかった。

「あの、なんで、私は此処に？」

そう不安そうな顔で遠慮がちに聞いてくる宮さんになんだか俺の中にある悪戯心が芽を出して

ワザと含みのある言い方をして返せば

ますます不安そうな戸惑った顔をする

そんな彼女の表情に耐えきれず笑いながら訂正するとあからさまにホッと胸を撫で下ろす彼女に

もう一度揶揄うように言葉をかければ

ムスッと怒った顔をして非難の声を上げられた。

メディア上では基本的にニコニコ笑って

怒るところも戸惑うところもあまり見せない彼女が

俺の目の前でコロコロと表情を変える姿になんだか胸がザワついた。