君と見たあの空を (ページ1)

今日:5 hit、昨日:27 hit、合計:18,221 hit

001 ページ1

『らいぶ？』

「そう、今度やるから来てよ」

ニコニコ笑顔でそう切り出した彼の名前は白濱亜嵐。

1年ほど前に映画で共演して以来の付き合いの彼は

普段は人を笑わせる事に重きを置いているような陽気な人だが

そういえば今をときめくアーティスト集団のリーダーだった。

聞き慣れないワードに思わず聞き返せば当たり前のように

大規模なライブが計画されている事を教えられる。

『えーでも、行った事ないし、、ちょっと怖いかも』

「大丈夫だって！」

何が大丈夫なのか。

具体的な案など何もない励ましの言葉を受けながら考えて

でも、彼らしい脳天気な返事になんだか本当に大丈夫な気がしてくる。

彼は本当にそう言う力がある人なのだ。

一年前に初めて会ったときからずっと、

いつだって明るくてポジティブな彼は現場を照らしてくれる太陽みたいな人だった。

彼の妹として作品に参加していたが

現実でも本当の兄のように思える温かな人柄を持った人だった。

確実性なんてないけれど、心からそう思っていることが伝わってくる彼の言葉には

いつも励まされていた。

だから適当なフリをして本当は真面目で優しい彼のお誘いなんて

何がなんでも断れるはずないのだ。

「ちなみにスケジュール的には？」

『、、、あ、行ける』

「おぉっ？？って事は！？」

『あの、圧が凄くて怖いんですけど』

ずぃと距離を詰め真顔で見つめてくる彼にそう言えば

今度は可笑しそうにカラカラ笑ってる

美人の真顔は怖いんです。

脱線、脱線を繰り返しながらもなんだかんだ

行くことが決定した彼らの単独ライブ公演。

楽しみではあるが未知の世界へと飛び込んでいくのはやっぱり少しだけ怖い。

「メンバーも絶対喜ぶ！Aのこと大好きだもん」

嬉しそうにそう言う彼を見ていたらそんな不安なんてちっぽけなものに思えてきて

いつの間にか笑みが浮かんでいた。