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『映画、受けるよ』
スマホの電源を落として真っ暗になった画面を見つめながら石田くんにそう告げた。
しばらく私の顔を伺うような様子の石田くんに微笑むと「分かりました」と返事をされた。
仕事の予定で埋まっていくスケジュール帳。
数年前の私だったら嘘だと思うほどの沢山の仕事。
休みなんてない。
そのスケジュールの埋まり方は
自分の時間の取り方も忘れてしまうほどだ。
でも、きっと大丈夫。
確かにすこし大変ではあるけれど
大丈夫。頑張れる。
玲於くんだって頑張っているんだ。
現場に向かう途中、車のボディに反射して写った自分の顔。
想像以上に疲れた顔をしていて思わず苦笑い
喝を入れるように軽く頬を叩く。
口角を上げて、背筋を伸ばしてしっかりと目を開いた。
うん、大丈夫。
生気の戻った顔にうなづいて撮影現場へと入っていった。
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作者名：玲香
| 作成日時：2022年7月27日 11時
