桜の季節 ページ4
あれから３年経った……
あの約束は果たされることはなく
私達は今、別々の道を歩いている
隣に居るのは別の人で
あの頃の燃え上がるような
恋とは違うけれど
一緒に居ると安心できる
そんな互いの想いが今は心地いいの
少し大人になったのかな…
「何してんの？
もう行かなくちゃ、
飛行機間に合わなくなっちゃうよ？」
「…ああ、うん！ゴメン！
すぐ行くね！」
窓から見える、川沿いの桜並木
もうあと少しで花も終わっちゃうね
またここに帰ってきたら、
緑色の爽やかで力強い青葉達が
迎えてくれるのかな…
大貴くんもどこかで
今年の桜、
見てた…？
柔らかい風を感じながら
ゆっくり窓を閉めた
『サヨナラ…』
荷物を持って、
部屋から出る。
ゆっくりドアを閉めて
『また、いつか…』
そんな声が聞こえた気がした...
「早くしろよ〜
車、来ちゃったってっ！」
ついにお義父さんから
電話がかかったらしくて
侑李が電話片手に急かす
「ゴメンゴメン！！
忘れ物しちゃってたの
思い出したのっ！」
「だから昨日、『準備大丈夫？』
って聞いたのに〜！
ほら、行くよっ！」
「待ってよ〜」
急いで靴を履き、玄関を出る
扉の外で両手いっぱい荷物を持った
侑李が待ってる
「おそいっ！」
「ゴメンねっ、お待たせっ！
…侑李…？」
「ん？何？」
「……大好きっ」
「はぁ？？…あ…と…えと…
…って、もー！！
こんな時に何言ってんの？？」
「うぅ〜〜！照れちゃって！」
「…ぅうるさいっ！行くよっ！」
「うん！いってきまーす！」
風が吹いて散るように
ハラハラと散るように
あの風が連れ去ってゆく
舞って
舞って
僕のサクラ…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：☆。ちゃま.:＊・゜ | 作成日時：2017年10月22日 0時
