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次に向かった先は、
地元のお祭りがあった場所。
2つの交差する想いが、
目の前に表れた日だったような気がした。
好きと伝える、そう誓った日でもあった。
その日から時間は経ったけど
想いを伝えられたから、
今こうしていられるのかな。
紫「…浴衣、めっちゃ似合ってた、」
って急に言うから、
「急に、どうしたの、?」
紫「......なんでもない、」
と、君ははぐらかした。
君の浴衣姿を不意に浮かべた。
かっこいい、似合ってる、
ひとことで表せるほど、
私は器用じゃない。
夏らしい君の姿が浮かぶと
消えていくのがこわくて
手を伸ばす。
覚めたくない夢も
いつも離れていってしまう。
これが忘れられる恋なら、
わりきれるのに…‥
君で染まっていく自分に
ブレーキをかけるフリをして
かえって加速をかけていた。
だから、
もう止められなくなっちゃった。
そして私は、
また甘えるように
君に寄り添ってしまう。
そしたら、
もっと近くで
もっと優しい笑顔を見せる君に
初恋ような感覚を
再び繰り返してしまう。
大丈夫、またあえるよ。
そう言ってくれてるような瞳を
じっと見つめてしまった。
紫「よし、次…」
次に向かった先は、
ひまわり畑だった。
だけど、
案の定、ひまわりは
全てうつむいていた。
そんな殺風景な姿を目の当たりにして、
君が言った言葉は、
紫「また次の夏に咲くために
ひまわりもお休みしてるんだね〜」
だった。
確かに、
ただ夏が終わるように
開花時期を過ぎた寂しげなひまわりではなく、
あの日みたいに
また私たちを照らしてくれるために
太陽の光を充電しているような、
そんな景色だった。
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作者名:嶺花 | 作成日時:2020年11月30日 18時