君日記 (最終章) (ページ35)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:25,024 hit

. ページ35

1番最初に向かった先は

紫耀くんの家の庭だった。

ここではバーベキューをしたり、

流しそうめんをしたりしたなあ…

と、こついこないだ起きた出来事を

昨日のことのように思い出した。

あの時のドキドキ感と一緒に。

もちろん食べ物は美味しかった、

だけど、

それ以上に、君たちの笑顔で

満腹になっていたような気がした。

当たり前のように

食べ合いっこをしたあの瞬間を

もう一度味わえたらいいのに、

紫「おいしかったよね」

って君が言うから、

「そうだったね」

って笑うしかなかった。

もう過ぎ去った思い出を

追いかけられないのかなって

寂しくなった。

紫「よし、じゃあ次行こ、」

「…うん、」

再び手を引いてくれる彼の

大きな後ろ姿は、

初めて海で出会ったときよりも

何倍も大きく

私の瞳の中で輝いた。

続いて向かった先は、

肝試しをしたあの場所。

まだ外は明るいのに

少しだけ不気味に見え、

寒気がした。

紫「こわいの？笑」

って、握っていた手を

ぎゅってしてくるから、

その温かさと強さに

甘えたくなった。

これからも頼りたい、

そう思った。

あの時、

掴んでくれた肩が

なんとなく擽ったく感じる。

" くっついてよ、 "

少しだけ甘え下手な君のセリフ、

何度聞いても、

ぎゅって胸があつくなった。

恐怖からのどきどきと

君へのどきどきで

ふわふわしているあの感覚を

もう一度…

なんて、

気づいたらまた、

叶わない願いを繰り返そうとしていた。

紫「よし、次、」

さっきよりも足早に駆け出した君。

何か忘れ物を探しているみたいに

向かっている先に迷いはなかった。

このときの私は、

まだ気づいていなかった。

君がこうして

思い出の場所を巡っている意味に。