. ページ13
砂浜に、ろうそくを立て、
火を灯す。
夕日がその炎を色づけたみたいな
熱のこもったオレンジ色が
私達の瞳で
揺れ動いた。
今にも消えそうな、
儚く燃える炎だったはずが、
あっという間に、
大きく、
強く、
私の目にうつった。
時々消えそうになる炎に
手をかざすと
再び、
大きく強く燃える炎は、
君たちのいる、
私の夏みたいで、
…なんてね。
たくさんある花火の中から
適当に1つを選び
火をつけた。
勢いよく光を放つ、
炎天下のような強い光が
胸の奥に刺さる気がした。
そのせいで
私の奥底に眠らせていた思いが
どんどん押し出されていく。
君たちと、
この街を、
この海を、
こうやって、
一緒に色づけていきたい。
君から溢れ出る思いを
抱きしめたい、
離したくない。
だから......…
「紫耀くん!」
紫「ん〜?」
「あ、いや、
なんでもない、」
紫「どしたのー?
まって!火ちょーだい」
そう言って
私の花火で
自分の花火を色づけた。
あれ、
私、紫耀くんに何を言おうとしたんだっけ、
ううん、
私は、きっと、
忘れたフリしてるのかな。
言うのが怖いからって、
また先送りしてるのかな。
廉「どしたん?」
「え、?」
廉「綺麗やな、」
「そうだね、」
廉「好きやなー」
「え?あ、
うん、私も花火好き、」
廉「顔真っ赤やで、」
そう言って、
私の頬を大きな手で包んできた。
顔が赤いなんて、
嘘だよね、
暗くて見えるはずないじゃん、
でも、
そんな小さな嘘をついて、
いつの間にか流れていた私の涙を
拭ってくれていた。
「廉くん、
だめだよ、
また傷つけちゃう、」
そう、手をとろうとしたら
廉「Aが笑っとらんほうが
傷つくんやで、
せやから、
俺の大好きな笑顔、
しっかり紫耀に見せつけてな」
「どうして、?」
廉「好きやから、
大好きやからこそ、
幸せであってほしいねん、
例え、俺とじゃなくても、」
「そんな、」
廉「まあ、
いつでも俺のとこ来てええけど」
134人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:嶺花 | 作成日時:2020年11月30日 18時