. ページ6
私は思わず目を閉じ、
ぎゅっと待っていた。
でもなかなか触れない。
紫「俺が教えんのはこっち、」
とだけ言うから、
瞑っていたはずの目を開けてしまった。
至近距離で合ってしまった視線が
外せない。
何この緊張、
今まで味わったことないし、
これからもきっと味わえない、
特別な感情が盛り上がっているとき、
紫耀くんの小指が
私の唇に触れた。
え、、
という、驚きの感情と、
なんだ、指先か、
なんていう欲張りな感情がうまれた。
思わず目を閉じて
ずっとあっていた視線を外そうとする。
そして背を向け、
「じゃあ、そろそろ戻ろっか、」
と、一言。
紫「そうだね、」
君は寂しそうに言った。
そして、
私が歩き出したと同時に
肩に手が触れ、
その手にぐっと力が入って、
後ろを振り向かされ、
唇に暑い感触を残していった。
紫「なあ」
「ん？」
紫「俺が引き止める前に、
勝手に離れてくなよ、」
「きっと、離れない、」
紫「俺はこの夏に、
置いてったりしない、」
まっすぐな目線と
澄んだ瞳に
その決意が美しく浮かんでいた。
それなのに、
"きっと"
っていう曖昧な言葉で
また誤魔化しちゃった。
誤魔化すしかなかった、
期限付きの恋にしよう、
そう思っていたけど、
私の夏はまだまだ終わりそうにないね。
終わらせる気はないけど。
そんなことを考える私に
寄り添うように歩きながら
ときどき手をあててくる紫耀くんは
とことんずるいよ、
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 89人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「平野紫耀」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：嶺花 | 作成日時：2020年10月15日 1時
