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紫「…なあ、
俺がこのときあげた貝殻、
2つとも、
まだ持ってる、？」
一つはネックレスに、
もう一つはポケットに
大切にしまってある。
5歳のときにもらった貝殻のネックレスは、
チェーンが壊れちゃってから
一緒にポケットに入れてるけどね。
「もちろんだよ、
ほら、」
そう言って、
私は貝殻を取り出そうとした、
紫「まって、」
私の手を
そっと掴んだ。
紫「裏、みた？」
「裏、？」
紫「そう、
気づいた、？」
「廉くんと、彩ちゃんのは
見たけど、」
紫「じゃ、俺のはまだってことね、」
「うん、
ずっと気づかなくてごめんね、
今、見てもいいかな、」
紫「おう」
ぎゅっと握っていた手を
そっと解いて、
私を見上げる君。
まずは、
ネックレスにしてなかった貝殻を
そっと裏返した。
" しょー "
........
少しガタついた文字が
5歳の夏、という
特別で、
きらきらしてたあの時間を
一気に思い出させてきた。
「しょー、？」
紫「そ、
俺の名前、
ずっと覚えてほしくてさ」
13年間、
紫耀くんっていう大好きな存在の名前を
ずっと知らずに、
君って呼んでた日々が
少し遠くにいってしまったような気がした。
「ずっと、探してた、
あの夏が終わってから。」
紫「俺の名前、？」
「名前だけじゃなくて
紫耀くんのこと、」
紫「そんなん、
俺もだよ、
Aのこと、
探してた、」
「紫耀くん、
ありがとう、」
紫「何回言っても足りないくらい
Aに会いたかったよ、」
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作者名：嶺花 | 作成日時：2020年10月15日 1時
