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私は再び、
涙を浮かべてしまった。
君のいない日々に戻ってしまうんだ、
やだ、
やだ、
絶対にやだ。
そんなことを考えていたら、
私は無意識に
紫耀くんの服の裾を掴んでいた。
紫「どした？」
その驚いた声で
私はそのことに気づく。
最近、
私は心と離れ離れだな。
「あ、ううん、」
紫「まだ眠たい？」
「ううん、海行こ！」
紫「、おう、」
溢れ出そうだった涙を
なんとなく誤魔化して
裾を握っていたはずの手を離し、
1歩踏み出した。
ここらへんで昔さ〜とか、
廉がさ〜とか、
彩がさ〜とか、
ずっと楽しそうにお話をしてくれる
君の目は
おひさまに照らされて、
もっともっときらきらしていた。
その瞳にまた心を奪われちゃった気がした。
海について、
すぐに波打ち際まで歩いていった。
手を伸ばそうとしたとき
後ろから、
パーカーの袖をまくってくれた。
紫耀くんの手、
めちゃくちゃゴツゴツしてる、
しっかり男の子だ、
またドキドキしちゃっていたら、
その手で目隠しをされ
紫「見すぎ、」
って照れたように言うからずるい。
「見てないよ、」
そう言った瞬間、
私の唇に何かが触れた、
その何かは未だにわからないけど、
柔らかくて優しかった。
「え、？紫耀くん、？」
焦ったように言うと、
紫「いたずら」
とだけ言って、
目を合わせて笑いかけてくる。
だから私も仕返ししてやろうと思って、
咄嗟に紫耀くんの両目を隠したけど、
何も浮かばない、
紫「んー？」
と、紫耀くんは余裕そうだ。
だから、
懲らしめてやろうと思って、
血色のいい君の唇に、
小指をそっと重ねた。
紫「ちょ、なにそれ、」
って言うから、
「教えてもらったんだよ、」
とだけ答えた。
そしたら、
私の後頭部を掴み、
一気に顔を近づけてくる。
もう触れるか触れないかの距離で
寸止めしてきた。
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作者名：嶺花 | 作成日時：2020年10月15日 1時
