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紫「…可愛すぎ、勘弁して、」
不意にもれた、
君の声で
溶けちゃいそうになった。
「かわいいのは紫耀くん、」
困ったように
後頭部に手を当てる君。
ほら、
そのしぐさ、
きっと君の癖だよね、
心がぽかぽかする、
そんなひと時を
私は抱きしめた。
ぎゅっと
強く抱きしめた。
紫「てかさー、
これ、
ずっとつけていてくれてるんだね、」
君はそういって
私の髪の毛をやさしくよせ、
私の胸元のネックレスを
そっとつかんだ。
「あたりまえじゃんか、」
紫「13年間もつけてくれてたよね、」
「そう、
一度も切れることなく、
ずっとここにいたよ、」
紫「嬉しい、
ほんとに嬉しいよ、」
「忘れたことなんてなかった、
でも、
忘れちゃおうっては考えちゃったかも、」
紫「そっか、
それはどうして、？」
「それは....…」
もう君に会えないなら、
ずっと抱えてるの辛いなって思ったから、
たとえもう一度会えたとしても、
君はどう思うか、
どう感じるか、
どんな目で見てるのか、
怖かったから。
現実から逃げて、
隠れて、
遠ざかってたかも。
そんなこと言えないけどね。
それでもね、
私の夏は
君なしでは、
ちっともつまらなかったよ。
そう、
つまらなかったよ。
君に色づけられる毎日が
幸せだなって、
そうわかったよ。
「紫耀くんのいない夏がくるなんて、
考えたくなかった、
から、かな？」
私は、
やっとその言葉を口にした。
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作者名：嶺花 | 作成日時：2020年10月15日 1時
