君日記 (Ⅵ) (ページ33)

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もと来た道を

全力で走る。

君にあいたい…

その一心で、

地面を蹴っていく。

水平線が

どんどん近づくにつれて

どこかへ飛んでしまいそうな

高揚感で、

胸が一杯になった。

普段人があまりいない

静かな海だけど

今日は、

ほんの少しだけ

誰かいるみたい。

でも、

そのなかに

君は見つけられない。

もしかしたら、

見えてないだけかもしれない。

そう思って、

端っこがどこなのかわからない砂浜を

必死で突き進んだ。

そのとき、

ふと、あることを思い出す。

そういえば、

こうやって、

ネックレスを探したことあったな、

大切なネックレス。

君がくれた、宝物。

数え切れないほど

たくさんの足跡に

君は気づいてくれて、

私のこと

見つけてくれた。

もしかしたら、

こうして、

君を探していたら、

君が見つけてくれるかも。

だったら、

ちゃんと、

私はここだよ、

そう海を使って

教えなきゃ。

君が、

今、

私のことを探してくれてるのであれば、

だけどね。

そうして、

新しく君にもらった、

この夏、もらった、

新しいネックレスに

手をかける。

......大丈夫。

ちゃんとついてる。

もう落としてない。

お願いだから、

君のもとに、

私を導いてくれないかな。

君に会いたい、

その願いを

この小さなネックレスにこめる。

心なしか、

少しだけ

輝きを見せてくれた、

そんな気がした。