君日記 (Ⅵ) (ページ32)

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お家にだったらいるかな、

それとも、

海にいるのかな…

もし家にいなかったら、

海に行こう、

そう思って、

歩き慣れた、

通い慣れちゃった道のりを

ただ真っ直ぐに走った。

この間行ったとき、

からかわれちゃったし、

今度はちゃんと顔を上げて

" 紫耀くんに会いに来ました。"

そう言わなきゃね。

息が上がって、

バクバクした心臓は

落ち着かないまま、

震える手で

インターホンに

指を近づけた。

ピンポーン…

孤独に鳴り響いた音が

更に私を緊張させる。

誰もいないのかな、

寝てるのかな、

もう一回鳴らしたら、

迷惑かな、

流石にうるさいかな、

募る不安と

薄れいく期待が

複雑に入り組んでて

抜け出せない。

あと一回押してみて

誰も出てこなかったら、

今日は家にいないんだな、

そう思って、

他を探そう。

僅かなドキドキ感が

私の背中を押してくれて、

もう一度、インターホンに手をかけた。

ピンポーン......

再び響いた音は、

無機質な空間に響いてるみたいに

寂しく高鳴っていた。

やっぱり今日は、

ここにいないみたいだな。

まあ、

そんなこともあるよね、

紫耀くんだって、

紫耀くんなりの夏があるはずだし、

もしかしたら、

ちゃんと好きな人が

いるかもしれないしね。

私が感じる、

紫耀くんからの好意は、

私のとはまるっきり違うかもしれないしね。

そうだよね、

期待し過ぎちゃっただけだよね。

よし、

海に行ってみよう。