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海に向かって、
行ってきます...！
そう告げて、
キラキラな光に励まされ、
海風に背中を押されて、
私は駆け出した。
ちゃんと会えるかな、
会ったらなんて声掛ければいいかな、
何話したらいいかな、
不安と期待に入り乱れた
私の心の中が
君のもとへ向かう足跡に
ぽっかり浮かんでいくみたいに
ひとつ、またひとつ、と
確かに進んでいた。
途中、
君たちがよく行くお店の前を通ったとき
「あら、そんなに急いでどうしたのー？」
そう声をかけられた。
「ちょっと、
いま会いたい人がいて、」
「紫耀ちゃんー？廉ちゃんー？」
そう微笑ましそうに聞かれた。
「あ、えっと、
紫耀くんです、」
はっきりそう告げた。
私だって、
もう迷いはないからね。
「あらあら、そうかい〜」
「はい、」
その先、
どう返したらいいのかもわからなくて
なんとなく気まずいな、
そう思っていたら、
「紫耀ちゃんもね
昔、
そうやって好きな女の子
探しとったよー」
「え、そうなんですか、」
その女の子は
私じゃなくて彩ちゃんなんだろうな、
そう分かってはいたけど、
やっぱり
胸のどこかがちくりといたんだ。
「その女の子って、
紫耀くんの近くにいる子、ですか、？」
「そうね〜
わからないな〜」
「そうですよね、
あ、でも、
どうして、
私が探してる相手、
わかっちゃったんですか、？」
「夏の探し合いって
とってもくすぐったいものだからね〜」
そう言って
とっても意味深なことをいう、
どうしても、
自分に都合のいいように
解釈しちゃいそうになる。
でも、
ほんの少しだけの期待で
とどまらせと置こう、。
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作者名：嶺花 | 作成日時：2020年10月15日 1時
