君日記 (Ⅵ) (ページ26)

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紫耀くんは

その私の両手に

優しく触れてきて、

紫「どうだった、？」

「アンコール、」

紫「アンコール、？笑」

「うそ、

　でもすごく良かった、

　すごくかっこよかった、」

ありきたりな言葉で表現するしか

私にはできなかった。

君の好きなところが

また1つ増えた。

嬉しかったはずが、

寂しかった。

もう、

こーやって見つけることできないんだな、

もしかしたら、

こんな新鮮な気持ちも

古びた思い出になっちゃうのかな。

どうしていつも

マイナスに考えちゃうんだろう。

君といるときは

期限なんか忘れて

君にずっと溶けていたい、、

そう思うのにな。

私は、

後ろから紫耀くんに抱きついた。

ぎゅーっと抱きしめた。

ギターの弦がこすれた音がした。

アコギの木の暖かい音も響いた。

紫「A…」

「ん、？」

紫「俺は、

　迷ってないよ、」

「私も、だよ、」

紫「じゃあ、

　もっとこっち、」

そう言って

私の腕を強くひいた。

私は君の首元に

顔を埋める形になる。

ふんわり香るのは

シャンプーかな、？

初めて嗅ぐような匂いに

ドキドキしちゃう。

ほんのり温かい感触が

私を

どこか別の世界に連れて行ってくれるみたいだ。

どんどん気が遠くなるような感じに

頭がふわふわしてくる。

これが君で溶けるってことなのかな、

そう錯覚したくらいだ。