君日記 (Ⅵ) (ページ24)

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思わず溢れ出た涙。

そんな自分はずるいって

わかってた。

「ごめん、紫耀くん、」

握りしめた瓶を

さらに強くつかんで

自分の胸で抱えた。

その両手を優しく包み込んで

紫「そんな気にすることじゃないよ、

　大丈夫だよ、

　落ち着こっか、」

「…うん、」

そのまま

大きな体で

まるごと包み込んでくれた。

紫「俺らにとって

　夏は、

　ただの季節じゃないもんね。」

私の頭をなでながら

何度も

大丈夫だよと

繰り返してくれた。

あんな言い方をしちゃったことを

申し訳ないって思う気持ちと

夏が終わったら

私達も終わっちゃうのかなっていう

不安が

頭をぐるぐるかけめぐった。

だからこそ

紫耀くんの大丈夫だよって言葉は

もっともっと

優しくてあったかくて

そばに寄り添ってくれてる感じがした。

「紫耀くん、

　ごめんね、ありがとう、」

紫「落ち着いた、？」

そう私の顔を見ようとしてきた。

でも、

泣いてる顔はもう見せたくなくて、

紫耀くんの厚い胸板に

ぴったりくっついてみた。

そしたら、

また繰り返し頭を撫でながら

もう片方の手で

しっかり抱きしめてくれた。

その安心感で

やっと落ち着いてきて

呼吸も普通になってきた。

だから

くっつけていた顔を話して

紫耀くんの目を見て、

「ありがとう、」

そう伝えると、

柔らかい眼差しが

私をそっとつつみこんでくれた。