君日記 (Ⅵ) (ページ18)

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空で作った両手を

ゆっくり、

丁寧に、

期待を乗せながら

おろしていく。

でも、

見事にその期待は空振りで

再び寂しげな海岸をとらえた。

でもそんな中に

今までは気づけなかった

きれいなお花が咲きそうになっている。

まだしっかり花開いてないが、

あと少しと

膨らんだ期待が

今にもこぼれそうだ。

そうすると

そこにふわっと人影が映る。

ちらちら入れ替わる人影は

交代で水やりをするみたいだ。

その影がとまって

しばらくすると、

きれいな光を出しながら

明るく花開く。

みんなが待ち望んでいた瞬間を

その子達と共有できたみたいで

なんだか心がぽかぽかしてきた。

声かけてみよう、

そう思って、

手を崩さないまま、

一歩踏み出した。

すると、

「なあ」

聞き覚えある声がした。

え、？

もしかして…？

急に私の心を

あついものが横切った気がして

はっと目をあけた。

あ、

また夢見てたんだ。

「なんちゅーとこで寝てんねん」

え、？

急いで身体を起こすと

「廉くん、？」

廉「俺やけど」

「なんで、ここに、」

廉「普通に会いたいなーおもて」

「え、ちょっとまって、

　待って私寝てたの、？」

廉「よーこんなとこで寝たわな笑」

そこは

私が紫耀くんと再会したてのころ

お昼寝した場所だった。

私、

砂時計をひっくり返したあと

朝日がいつもより優しくて

そのまま寝ちゃったらしい。

それで夢見たんだ。

ん、

今、廉くん、

会いたいって言った、？

不思議な夢から

目覚めたばかりなのに、

もっと混乱させてくるのずるい。

「廉くん、」

私は、

思わず名前を口走ってしまった。