花ことば ( Ⅲ ) (ページ19)

今日:4 hit、昨日:6 hit、合計:11,352 hit

. ページ19

.

どうしてそんなに知ってるの？って聞くと

飛「Aのため」

「私？」

飛「今も怖いか？

　暗いとこ」

「ああ、そういうことね、笑」

そういえば小さい頃、

停電でしばらく電気がつかなかったとき

怖くて今にも泣き出しそうな私を

そっと抱きしめるだけじゃなくて、

一つともしたロウソクの光で

今みたいに影遊びしたっけ。

なんで笑うんだよ、って

その笑顔は

さっきの私の微笑みとお揃いだって

お互い分かり合っていて。

また揃ったね、

またおそろいだね、って

口にしなくても結ばれていくリボンは

今日の夜空に魔法をかける。

それにのまれるみたいに

私達も魔法にかかって、

甘い感触を共有した。

甘すぎるくらいが丁度いい。

もう一度触れたら

こぼれてしまうくらい

満杯にしあうんだ。

少ししてから部屋の電気をつけると、

飛「え、」

と驚く彼。

「もう見せれないかと思った、」

安堵でこぼれそうな涙の訳は、

" ありがとう

　ずっとだいすき "

というずっと探していた、

幼い頃にこのキャンドルに綴った文字が伝わる時を

やっと探し当てることができたから。

遠足の時に作った、メッセージキャンドルには

まだ純粋な私の

ちょっと重めの好きの気持ち。

飛「……A」

「これね、」

の後の言葉は彼に埋もれて

飛「いいから抱きしめさせろ」

ちょっと強引で

でも優しくて柔らかくて、

そんなハグをされる。

苦しいよ、って笑っても

聞こえない、って強くなる腕。

絶対離さねえ、って台詞は

そんな強さからも

ちゃんと伝わってきて、

私の心までをも火照らせる。

じゃあ離さないでねって

調子にのったりしちゃって、

ますます強くなる腕の強さに

永遠の片リボンをくくる。

絡まってもいいから

絶対離れないでと願い、

誓い合う星が

静寂な夜をもたらす。

気づけば、

嵐のような外は

思い切り姿を変え、

優しい空に見守られていた。

二人、肩を並べて

誓い合うように眺めた夜空。

遠くまで届くと感じた未来を

星星に託した今日という日を

永遠と名付けよう。