花ことば ( Ⅲ ) (ページ17)

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いつから料理を習ってたとか、

どんな料理が作れるかとかは聞かなかったけれど、

離れていた間

もう会えないかもしれなかったのに

幼い口約束を繋ぎ止めてくれていたと思うと

それだけで涙がこみあげて来る。

それなのに私は。

そう浮かぶ前に

これを決して散らない恋、

飛貴にとっての満開の恋人になろう

そう心に決めた。

そうこうしているうちに

唐揚げはきれいなきつね色にあげあがり、

鍋もぐつぐつ音を立て始めていた。

普段は全く使わない大きな皿を

棚の一番下から引っ張り出して

それに盛り付ける。

それらとお鍋、

2つずつのお茶碗や箸。

そんなテーブルを眺めているだけで

なんだかお腹がいっぱいになる気がした。

久しぶりだな、この感じ

という感覚すらも愛おしいすぎて

口角があがった。

「じゃあ食べよ！」

飛「うん、食べよっか」

「「いただきます！！」」

今日は、飛貴に先に食べてもらいたくて

控えめにその手元を見つめていると

飛「食べないの？」

「猫舌だから、」

咄嗟についた嘘は上手なはずだったけど、

飛「ありがとね、いただきます」

その言葉と柔らかい目線は

私が猫舌じゃないことも

先に食べてもらいたいって気持ちも

全部みやぶっているみたいだった。

「おいしい？」

飛「やばい、まじうまい」

「良かった〜！

　
　じゃあ私もいただきます！」

大きな期待に箸を押されたみたいに

熱々の唐揚げを口に入れると

想像以上に熱くて

涙目になってしまった。

飛「はは、はいこれお水」

「あ、ありがと」

飛「ふーふーしてあげよっか」

「もう子どもじゃないので大丈夫です、」

飛「言うと思った、笑」

「ばれたか」

飛「前もあったよな、こんなこと」

「あれは飛貴じゃん」

飛「そうだっけ？、笑」

「つまみ食いでしょ？」

飛「そうそれ笑」

「覚えてるんじゃん、笑」

飛「あれもめっちゃ美味かった」

なんて笑いあったり、

懐かしさをきゅっと握ったり。

いつもみたいに同じ味なのに

食べさせ合ったりして。