甘さが、罪。 (ページ9)

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翌日。

朝、電車に乗ったタイミングで
君と目が合う。

軽く会釈をすると
混雑した車内をそっとかき分けて
私に近づいてくる。

朝からこんなにも体温が上がるのは
初めてだったんじゃないかな。

『おはよ』

私が知らない表情の君が話しかけてくる。

「お、おはよう」

ぎこちなくかわした挨拶。

あからさまに目が泳ぐ私を
ふふ、と鼻で笑う君。

『これ』

その表情のまま差し出されたのは
私のイヤフォンだった。

「あ、ありがとう、」

『昨日落としてたから』

「あ、そうだったんだ。

　助かりました」

『……部活大変そうだね』

「ちょっとだけ、」

『何部？』

「バスケ部のマネージャー、です」

『っぽいわー笑』

そう笑われたことに戸惑いながらも
途切れてしまった会話を繋げようとする。

「何部なの？」

『サッカー部』

「っぽいですね、笑」

吊革につかまっている君と
電車が揺れる度に顔が近づいたり、
肩が触れるせいで余計にあつい車内に
私の学校の最寄り駅を知らせるアナウンスが響く。