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最寄りの電車のドアが閉じる。
この先どこに行くかは、
全部君任せにして
更に近くなった君との距離に
好きを募らせていた。
見慣れない景色が流れ始めたとき、
『次で降りる、』
と君が言葉を溢した。
その台詞を拾うように
「うん、わかった」
と私が言った。
そこに香っていたのは、
あどけない桃色の匂い。
花束になりたいと思うのは、
君のとなりにいる時だけで
どんな我儘だって、
君がとなりにいる時だけかもしれない。
滲んだ世界で色を変えるような
さりげない相槌からも
目が離せなくなってしまうのも
君が私に、甘い罪深さを教えたせい。
こうやって、
手の甲を時々触れながら歩くのは
何回目だっけ。
まだ二回目なのに
回数がわからなくなってしまうほど、
居心地がよかった。
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作成日時：2021年2月14日 23時
