甘さが、罪。 (ページ22)

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………君、だった。

君は、最初から私の居場所を知ってるかのように
まっすぐに私の隣に来てくれた。

私は思わず立ち上がった。

『やっと見つけた、』

「西野くん、？

　どうして？」

『とりあえず、こっちきて』

私の背中にそっと手をやり、
ドアのすぐ横に連れてかれた。

じんわり伝わってくるぬくもりが
私の心をさらに揺らす。

ふんわり香ってくるのは
君の優しい匂いで、
まだ、懐かしいとは思いたくない匂いだった。

君は、時々私の目を見ては
まだ知らない表情を浮かべていた。

次の電車で、
突然多くの人が乗り込んできた。

そういえば、この辺りに
おしゃれなカフェとか、
景色のいいレストランあったんだっけ。

それに今日は、
ホワイトデーだったね。

多くの人にのまれ、
触れ合っていた肩は
離れざるを得なかった。

だけど、

『こっち、』

そう言って、
吊り革につかまる腕の間に
導いてくれた。

他の人が押してきても
電車が多く揺れても、
もう片方の手で私の肩を持ってくれる。

言っちゃえば、
軽く、ぎゅってされてるみたいな。