甘さが、罪。 (ページ18)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:8,682 hit

. ページ18

.

もうちょっと居たい、けど痛い。

そんな僅かな心の震えを感じることさえ、
全て薄れていく記憶の中だけにあるようで
もうちょっと、なんて言葉は
もう遅すぎたらしくて。

君に会えない日々は、
この先永遠かもだなんて

そんな永遠欲しくないなんて、
我儘さえ夜空は飲み込んじゃって。

恋をしたから明日が美しいって思える日は
あの日でおしまいだったのかもしれない。

というのも、
3月1日で高校を卒業してしまった私は
君と一緒の電車に乗ることは
なくなってしまったからだ。

扉のガラスに映る自分は
何か、物足りなさで溢れていて
思い描くのは君との空間だけ。

未練かなんかで
無理やり埋め合わせたような狭い背中には
ほんの少しの隙間、
君しか入らない隙間しか
持ち合わせていなかった。

月の欠片を集めて
飾ったような夜、
君の面影をみた雪がとけ
降らした雨。

移りゆく景色は全部遠くて
残像すら残さない。

突き刺さるような声さえも
私の心は素通りして
君でしか動かなくなってしまったみたい。

恋ってどこでするんだっけ……

なんて考えながら乗った電車。