6月 ページ15
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サクラソウ
「憧れ」
通えば通った分だけ
窓際に並べられていく花から
恋の香りがする気がした。
でもそれは、
ただの錯覚で、
恋なんてしていない、と
繰り返し言い聞かせていた。
…ただの憧れなんだって。
今の距離を遠ざけたくなくて、
私の心の種が
紫耀さんの世界に埋没していくのを
想像するのを
必死で避けていた。
それでも
会いたい、知りたい、知ってほしい、
という思いは、
大切にしてしまっている。
そんな矛盾が生む日々だけど、
月に何度か、
そんな新鮮な香りを感じられる日が
やっと当たり前にやってくるようになったのが
嬉しかったりもした。
会いに行くと決めた週末にむけて
自分磨きをしたり
コーディネートしたりする時間が
私の乾いた毎日を潤してくれる。
だけど、
6月になってから
月に一度模試があったり
考査も近づいてくるせいで、
まだ会えていない。
というか、
会いに行く余裕を作れずにいた。
脳内で勝手に思い描く紫耀さんを
気づいたら探している毎日は、
波のように
私の心に
強く打ちつけてくる。
放課後にカフェで会えた偶然は
あの日以来、ないので
気づいたら紫耀さんを探している
という習慣も、
いつの間にか
忘れ去られている。
だから、ある日の放課後も
無感情のまま、
カフェに向かっていた。
桜色だった街並みは
花萌葱一色に染まり始めている。
木々の葉は、
若々しさと落ち着きを合わせ持つ、
生命力のある色になりつつあった。
そんな活気あふれる景色とは
正反対で、
私は、なかなか実らない努力に
希望を失いかけていた。
授業も、予習復習も、
ちゃんとやってるはずなのに
どうして点数にならないんだろう。
受験生にありがちな悩みを
こんな時期から強く感じてしまい、
モチベーションは下がっていくばかり。
カフェにつき、
ドアに手をかける。
いつもよりも
何倍も重く感じる扉は
どんなことを予知していたんだろう。
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椿茜(プロフ) - 名前変換が出来ていないので、確認と訂正の方よろしくお願い致します。 (2021年3月3日 8時) (
レス) id: ffddcc42e3 (このIDを非表示/違反報告)
椿茜(プロフ) - 初めまして。楽しく読ませていただいていたのですが、5月のページのところに出てくる奈々葉でしたっけ？誰ですか？ってなってしまいました。 (2021年3月3日 8時) (レス) id: ffddcc42e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：嶺花 | 作成日時：2021年1月15日 20時
