ベランダ相談室 -Daiki.A-

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薮さんが降りてから10分程すると、下車駅に到着した。
まもなく日付も変わる事もあり外はより一層寒い。




「ふふ。あったかい。」



鞄から手袋を取り出して、手に付けた。
大ちゃんから貰ったあの日からずっと付けてるそれを、何度見てもニヤケてしまう。


マンションまでの道のりを歩いている途中、ポケットに入れてるスマホが1度震えた。




「あ。」



メッセージを送ってきた相手は、先程まで一緒にいた薮さん。
今日はありがとう、という内容と帰宅を心配するメッセージと共に送られてきたスタンプ。
それを見て口元が緩んだ。




A：可愛いスタンプ使うんですね。笑

薮：可愛いでしょ？うさぎちゃん。

A：うさぎちゃんは、ちょっと意外でした。

薮：ギャップ萌えってやつだね！




そしてまた送られてきたスタンプ。
ゆるいイラストのうさぎは、どことなく薮さんに似てる気がする。




薮：もう家着いた？

A：もうすぐです！

薮：俺ももうすぐだよ。




マンションが近づいてきて上を見上げる。
大ちゃんの部屋は真っ暗だった。
もう寝ちゃったのかな。




家に着いた事を一応メッセージで報告すると、良かった！ってすぐに返信がきた。
男の人とのこういうやりとり久々で、どこか楽しんでる自分がいる。





そういえば、大ちゃんの連絡先知らないな。
別に連絡取るような事はないんだけど。
それに何か用事があればベランダで話をするか、急用であればお家を尋ねればいいだけ。
交換する必要はないもんね、って心のどこかで言い聞かせた。

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