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[国見 英side]
「そこの公園で、少し話そうよ」
本当は朝渡すつもりだったのに、休み時間が過ぎて、お昼が過ぎて…
結局、放課後になってしまった。
せっかくAの誕生日だから、当日に渡したい。
明日なんて待ってられない。
「え、うん…いいけど」
Aは驚いた表情で小さく頷く。
誰もいない公園に入ると、小さなベンチに座った。
「…ね、俺の膝に乗ってくれない?」
「ひ…膝!?え、でも…」
「いいから」
少し強引に俺の膝に座らせる。
緊張しているのか、Aはあまり深く座ってこなかった。
少し空いた距離を縮めるために、俺はそのままAに抱きつく。
「……ど、どうしたの?」
「んー…いや。なんか安心するなって」
「…そっかぁ、私も」
そう言って微笑むAに、俺はやっと話を切り出す。
「…あのさ。今日、A誕生日じゃん」
「…うん」
「…おめでとう」
「うん、ありがとう」
「……ずっと、渡せなかったんだけど…
俺も、誕生日プレゼント買ってたんだ」
そう言って鞄から袋を取り出す。
及川さんたちと行った時に一緒に買った物。
これだけはどうしても1人で選びたくて、途中で勝手に抜け出して買ってのだ。
「……あ、りがと…」
Aは震えた声で俺が差し出したプレゼントを受け取る。
顔は俯いていたけど、涙が零れていたのはわかった。
「開けていい?」
「うん」
Aはゆっくり袋から取り出し箱を開けると、中身を見て顔を輝かせた。
そして、そこから笑顔が零れる。
「腕時計だ!可愛い!
…でも、2つ入ってるけど…」
「えっと…それ、ペア用なんだよ。
だから、Aとお揃いにしようかなって……思って」
だんだん恥ずかしくなって最後の方はほぼ小声になる。
多分、今の俺の顔は真っ赤になってるだろう。
正直周りが暗くて助かった。
「…嫌?」
「……ううん!全然嫌じゃない!
英くんとお揃いなんて、世界で1番嬉しいよ!」
「…そっか、よかった。」
“世界で1番”なんて、大袈裟すぎるだろ。
だけど
そう言ってくれるAが
そう笑ってくれるAが
大好きだ。
「じゃ、早速付けてあげる!」
腕を差し出すと、Aは小さな手で腕時計を付けてくれる。
すると
「できたよ」と笑うA。
それが可愛くて、我慢できなくて
ある一言と一緒にそのまま唇を重ねていた。
「愛してる」
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千歌 - すごいにやにやしてしまいました笑ほんわかするし、すごく面白かったです! (2020年5月9日 12時) (レス) id: 315a32be82 (このIDを非表示/違反報告)
明日(プロフ) - にゃーのさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてほんとに書いてよかったなと思います!お!ぜひぜひ書きます! (2017年8月10日 22時) (レス) id: 4927c314f4 (このIDを非表示/違反報告)
明日(プロフ) - 世界の佐々木さんさん» コメントありがとうございます!わー、本当ですか!嬉しいです(*^^*)高評価ありがとうございます! (2017年8月10日 22時) (レス) id: 4927c314f4 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーの(プロフ) - すっごくほんわかとでもちょっとニヤニヤできて読んでて飽きないお話でした!番外編とかやってくれませんか? (2017年8月10日 20時) (レス) id: 1dfb4bbc84 (このIDを非表示/違反報告)
世界の佐々木さん - 無気力でも時々見せてくれる国見くんの優しい所とか、すごく想ってくれている所がたくさん出てて、私好みでした!全力で高評価させて頂きました!!o(^▽^)o (2017年8月10日 19時) (レス) id: 17ed360640 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:明日 | 作者ホームページ:http://twitter.com/asu_6021
作成日時:2017年3月31日 15時