検索窓
今日:9 hit、昨日:12 hit、合計:67,814 hit

44 ページ44

[二口 Aside]


家に帰ると、お兄ちゃんは既にリビングでテレビを見ながらくつろいでいた。



「ただいまー」

「んー、おかえり」



「疲れた」と呟きながらリュックを下ろすと、お兄ちゃんは私の顔を見て思い出したかのように質問する。



「お前さ、今欲しいもんある?」

「え?」

「今度、誕生日だろ」

「あ、そっか!えっと…」




「新しい服も欲しいしメイク用品も…あとアクセサリーも欲しい!」


…とか言うと「もう何も買ってあげない」とか言うんだろうな。


言いたいのを我慢して、私は1番欲しいものは何だろうと考える。



「…やっぱり、服が欲しいかな」

「服な……じゃあ、暇な時あれば連れてってやるよ」

「ほんと?ありがとう!お兄ちゃん大好き!」

「…お前ほんとそういう時だけ調子いいよな」



最後の一言は聞こえなかったことにしていると、お兄ちゃんは私の耳元で「誕生日の時、彼氏とどこか行ったりするのか?」
とムッカつく笑顔で聞いてきた。


あまり触れられたくないことだったが、グッと堪えて私は笑った。



「いやいや、英くん私の誕生日知らないだろうし……そういうのは、やらないよ」

「……はぁ………ったく…お前はいつもいつも違和感無さそうに笑いやがって」



お兄ちゃんはイライラしたようにため息をつくと、私のほっぺを思い切り横に引っ張る。


痛すぎて、何をやられてるのかすらわかんない。



「ちょ……やめっ…」



「そんな寂しい思いするくらいなら、直接本人に言ってやれよ、このバカ!」

「な……バカじゃないもん!」

「バカだろ。自分の想いも伝えないで、何笑ってんだよ」



お兄ちゃんは私の頭を雑に撫でると、風呂場に向かっていく。


…いっつも腹立つことしか言ってこないくせに、なんでこういう時だけ………





「………ありがとう、お兄ちゃん」

45→←43



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (98 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
119人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

千歌 - すごいにやにやしてしまいました笑ほんわかするし、すごく面白かったです! (2020年5月9日 12時) (レス) id: 315a32be82 (このIDを非表示/違反報告)
明日(プロフ) - にゃーのさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてほんとに書いてよかったなと思います!お!ぜひぜひ書きます! (2017年8月10日 22時) (レス) id: 4927c314f4 (このIDを非表示/違反報告)
明日(プロフ) - 世界の佐々木さんさん» コメントありがとうございます!わー、本当ですか!嬉しいです(*^^*)高評価ありがとうございます! (2017年8月10日 22時) (レス) id: 4927c314f4 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーの(プロフ) - すっごくほんわかとでもちょっとニヤニヤできて読んでて飽きないお話でした!番外編とかやってくれませんか? (2017年8月10日 20時) (レス) id: 1dfb4bbc84 (このIDを非表示/違反報告)
世界の佐々木さん - 無気力でも時々見せてくれる国見くんの優しい所とか、すごく想ってくれている所がたくさん出てて、私好みでした!全力で高評価させて頂きました!!o(^▽^)o (2017年8月10日 19時) (レス) id: 17ed360640 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:明日 | 作者ホームページ:http://twitter.com/asu_6021  
作成日時:2017年3月31日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。