遅咲きの恋 (ページ4)

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「翔ちゃん、辛いの？」

「ん、ちょっと。」

「無理しないでよ、」

「わかってるよ。」

楽屋から聞こえてきた声。

それは翔くんを心配するニノと
素直に認める翔くんの声。

さっきの俺とのやりとりとは正反対で。

「伝えなきゃ、始まんないよ？」

「、だって。」

「だって、なに？」

「あの人を目の前にしたら
変に緊張しちゃうんだもん。」

「...ピュアだねぇ。」

「仕方ないじゃん。」

聞こえてくる会話は恋の話？

伝えなきゃ、始まらない。
緊張してしまう。
ピュア。

どう捉えようも、恋愛にしか結びつかない脳内に
心臓がばくばく音を立てる。

翔くんが、恋？

想像したくないのにしてしまう。

翔くんの隣に誰かがいて、離れていく光景が鮮明に浮かんで、幸せそうに笑ってる彼を引き止められない俺の姿が。

このまま引き下がるのか、突き進むのか

答えはただひとつ。

始めてもいない恋に、何もせずに引き下がるのは
あまりにもつまらない。

自分自身、好きになったら一直線で
我慢なんて性に合わない。

ならば、結果はどうであれ突き進んでやる。

多分、砕け散るんだろうけどさ。
まぁ、その時はその時だな。

こうしてこの日から
翔くんへのアピールが始まった。

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