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半ば強引に連れ込んだのはいいけど、どうしよう。
ケーキの箱を手に
落ち着きなくうろうろしていると
「大野さん、どうしたの。」
少し笑みを含んだ翔くんの声が聞こえた。
「や、どうしよっかなって。」
「ケーキ食べるんじゃないの？」
「そうだね、食べよっか。」
翔くんの言うままに行動して
箱からケーキを出す。
「ん〜、めっちゃ美味しそう。」
「だね、翔くんどっちがいい？」
隣に来ていた彼に目線をやると
思ったよりも、距離が近くて体が跳ねる。
そんな俺の微かな動きに彼は目もくれず
目の前のケーキに夢中で。
ちょっと、悔しい。
「そうだなぁ、半分こするなら一緒につつく？」
「ふふ、それもそうだね。」
皿にケーキを移して、隣でいただきます。
一口、ケーキを頬張ると深まる笑みが可愛くて。
またひとつ好きが積もる。
「大野さんの、もらっていい？」
控えにおねだりされて、上目がちになる目に
誘われそうになるのを抑えながら
「いいよ。」
気持ちを丸め込んで
彼に伝える声はいつもより甘かった。
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作者名：もふ
| 作成日時：2019年4月28日 18時
