幼馴染みに付いた虫［ 黄 × 青 × 緑 ］

《虫》 ページ1

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｢章ちゃん、卒業したらほんまに出て行ってまうん？｣


｢大学受かったのに蹴るわけにはいかんやん｣




本州からフェリーで約十分のところにあるこの島で、俺と章ちゃんはずっと一緒に過ごしてきた。


島と言っても結構大きくて、小中高は揃ってる。


だからまあ、章ちゃんに限らず島の奴らみんなが幼馴染みたいなもんなんやけど、
章ちゃんとは家がお隣さんで親同士の付き合いが長いからほんまの兄弟みたいな存在。


あ、勿論 俺がお兄ちゃんやで。


そんな章ちゃんが、春から島を出て本州の都会にある大学に進学することになった。




｢流石に大学までは此処には無いし、僕のやりたいことができる大学も限られてるしね｣


｢……俺もやっぱ此処出る！｣




章ちゃんは可愛い。


ちっちゃくて、線が細くて、顔立ちも中性的で。




｢あかんよ！就職決まったやん！｣


｢俺は章ちゃんが心配やねん｣




二人で島の外に遊びに行った時も、俺が少し目離した隙に男女(おとこおんな)に関わらずいっつも言い寄られとった。


その度に俺が思いっきしガン飛ばして追い払ってきたからええけど、一人で、しかも暮らすとなったら話は違う。


あー、何で大学行ける頭にせえへんかったんやろ。




｢都会には章ちゃんに纏わり付こうとする変な虫がいっぱいおんねん！
絶対に気許すんやないで！｣


｢虫て。笑
心配せんでも大丈夫やって。僕男やし、もう18やで？｣




ほら。無自覚やから嫌やねん。




｢とにかく！変なんに釣られるんやないで！
……あと、頑張ってや｣




少しの間目をぱちくりさせた後、




｢…んふ、ありがとう。亮も頑張ろうな｣




って笑った。


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ラッキーパーソン

知念侑李

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