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ab.
音のない世界がこんなに怖いなんて、
なんにも知らなかった。
痛みも温度もわからない恐怖の比じゃない。
でもその分、気づいたこともあった。
耳が聞こえない代わりに
どうにか聞き取ろうとその人の顔をよく見るようになったのだ。
ひかるが笑ったときにできる目尻のしわ、
ふっかがいじられた時のあがった口角、
翔太が俺のそばで眠るときの力のない手、
だてさんが俺の頭を撫でるときの目、
ラウールが俺を抱きしめる大きな大きな腕、
康二がシャッターを切る綺麗な指先、
めめの真剣な眼差し、
佐久間の、悲しそうに笑う顔。
iw「さくまも必死なんだよ」
俺が不安そうに佐久間を見ていたらしく、
ひかる以外のみんなが仕事に向かったあとに
仕方ないなあと言った顔で
打ち込んだ文字を見せてくる。
iw「退院はいつごろになりそう？」
ab「まだかな。頭の傷が炎症起こしてるって」
iw「じゃあ大分かかりそうだなあ」
ab「感染症が怖いからって言ってた」
iw「なら、もうちょい我慢だな」
そう言って俺の頬を抓ってくるけど
相変わらず痛みはなくて、
でもなんとなくひかるにとって俺はいつまでも弟なんだなと
少し負けたような、そんな気がして
むすーっとした顔をしたらすごく笑われた。
ab「なんだよ！！」
iw「ガキだなって」
その文字を見た瞬間に目を見開いて
思いっきりひかるを睨んでやったら、
聞こえないけど大声で笑ってるのが伝わってくるくらいに大爆笑していた。
それにつられて俺も涙が出るくらい笑っちゃって、久しぶりに幸せを感じた気がした。
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ゆーり - このお話が面白くてもう2回目です！ 他の話も読んでみたいです！ (2022年11月7日 16時) (
レス) @page28 id: 843b8d5514 (このIDを非表示/違反報告)
huuto(プロフ) - それ、雪達磨に殺らせてくださいの小説、パスワードかかってます。見たいんですがどうすればいいですか? (2021年1月9日 21時) (レス) id: b8e244ff6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たそ
| 作成日時：2020年12月6日 22時
