淡雪の孤独

5.ココロ配り ページ17

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あの日から阿部ちゃんは
恐らく田川と会ったであろう日には
必ずと言っていいほど
俺の家に来るようになった。

「めめ、ポタージュ飲みたい」

この瞬間だけでも幸せでいて欲しい。
まだ守る、助ける術を知らない俺は、
ただその一心で彼に尽くした。


そして、いつの間にか
彼が俺の家に泊まるのも
当たり前になり、

不謹慎ながらも
彼が助けを求めて俺の家にやって来るのを
楽しみにしている自分もいた。


そんな当たり前は、
突然終わりを告げた。




1ヶ月も、彼は家に来ていない。
いつでもポタージュを出せるようにと
買い溜めしたそれは、
キッチンの棚の中で山積みになっていて、

彼が来るからと綺麗にしていた部屋も
すっかり元の状態になっていた。



それと同時に、
グループでの仕事よりも
個人仕事が多くなってきていたのもあって
全く彼に会えていない。


『今日、来ないの？』


そう一ヶ月前に送ったメッセージには
既読がついただけで、何も返ってこない。



ただそれが、
田川からの誘いが無くなったから
俺はもう必要ないのだったら全然いい。

もし、
もし何か、もっと危ない目に合っていたら、



そう思うとただただ怖くて
スケジュールを開いて
次に彼に会える日を探した。

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