深夜廻-矢京- (ページ2)

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プロローグページ2

空は、鮮やかな赤や橙に染まる。
鮮やかな色達は、見下ろすものすべてに影をさす。

その影が手を伸ばすように暗くなりつつある山の中を、一人の少年が歩いていた。

首元には赤いスカーフを巻いて、金色の短髪に二本の黒い剃り込みを入れ、Ｔシャツに短パンという格好をしている。
だが、特徴的な鋭い目付きの奥は、どこか暗く沈んでいた。

左手には赤いリードが握られており、その先には隣をトコトコと歩く茶色の子犬。

茶色の子犬はピンク色の舌を出しながら、少年と並んで歩く。

少年の右腕には、黒毛の子犬が年の腕の中で丸くなっている。

胸元に顔を埋めるように丸まったままピクリとも動かない黒毛の子犬を抱えながら、少年は歩いていた。

しばらく歩き、少年は街を一望できる丘のような場所に着いた。

少年は暗い瞳で街を見下ろした後、足元に視線をやった。

黒い子犬を一度地面に優しく置き、両手で土を掘り、小さめの穴を作った。
少年は黒い子犬を再び両手で抱え、穴の中に入れた。

あまりにもサイズがぴったりだったので、少年は声を殺して泣いた。
涙をポロポロと流しながら、穴に土を被せ、近くに落ちていた枝を山のように盛り上がった土の上に突き刺した。

そして、犬の形をしたナップザックから、小さなメモノートを取り出し、一枚紙を破き、そこに何かを書いてたたみ、黒い子犬の墓の側に置いた。