28 おれにすきなにおいじゃない ページ28
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あれからダッシュで着替えて、校庭に出たはいいものの、なんだから自分を包む鍵慣れない匂いにソワソワしてしまう。うーん、落ち着かない。
「何、ソワソワしてんの?」
「なんかいい匂いなんだけど嗅ぎ慣れなくて、志麻先輩のだと思うと、緊張する...」
「なんでジャージ着んのに緊張すんの」
何それ、と理恵に笑われる。ソワソワしているのは匂いもあるけど、モテる志麻先輩のジャージを着ているのをバレていないか気になってしまうからだ。志麻先輩狙ってる一軍女子が私を目の敵にしたら溜まったもんじゃないよ〜!
「...それ、彼ジャーってやつじゃん!」
「え?彼ジャー?」
「うん、なんかいいね。ちょっとデカめなのかわいいよ」
理恵がはっとして、何を言い出すのかと思えば"彼ジャー"とかなんとか。別に体育の授業にかわいさなんて求めていないし。まぁ、ちょっとは身嗜みも気にするけど、どうせ崩れるじゃん?
「あーやめてよ〜、変に意識するじゃん」
「え?もうしてるじゃん!」
そう言ってニヤニヤしながら冷やかされる。イケメンで優しい志麻先輩のことだから、後輩にジャージを貸すことなんて造作もない事なんだろうけど、あちらは何も気にしてないのに私だけ意識してたらなんか恥ずかしいじゃん。
今日は男女共同での授業だから、沢山人いるし、ジャージが私のじゃないことぐらい気づくわけない。そんな事思いながら授業に参加しようと持っている記録が書かれたボードに目を落とした。
「センラの記録どうでした〜?」
「んーとね、」
男子の記録の計測をしていた時、センラがやってきた。記録を知りたいらしく、私の持っているボードを見ようと後ろから覗き込む。多くの記録の中からセンラのを一生懸命探す。
そんな私の肩あたりに顔を近づけて、あれ、とつぶやくセンラ。するとスンスン鼻を鳴らして匂いを嗅いでくる。そしてまた、あれ?と呟く。
「もーなに、気になるからやめて。みんないるのに近い。」
「.....」
「はーなーれーてー」
「.....なんで男の匂いするんです?どう考えても男もんの匂いやけど。俺の好きな佑月さんの匂いがしない」
「あー、別にしらないし気の所為だよ」
「はい、嘘ですね。センラ騙せると思わんといて」
あー、めんどくさい。ジャージのことバレたらうるさいだろうし何としてでも隠さなければ。あと、すぐセンラに嘘バレるのも嫌。なんで一瞬でわかるんだよ。
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あるじゃん(プロフ) - あいさん» あいさんご無沙汰いたしております。暖かいコメントありがとうございます、嬉しい限りです泣 長らくお待たせいたしましたが、今後ともよろしくお願いいたします!更新頑張ります。 (2021年4月11日 13時) (レス) id: 2f7ed6fc05 (このIDを非表示/違反報告)
あい - おかえりなさい!!これからも更新頑張ってください! (2021年4月10日 18時) (レス) id: dad9695123 (このIDを非表示/違反報告)
みね - 更新、頑張って下さい!めっちゃ楽しみです!!! (2020年7月30日 23時) (レス) id: 2329b8e021 (このIDを非表示/違反報告)
白瀬(プロフ) - コメント失礼します…!!私が昔から読んでいた少女漫画と内容がそっくりで、めちゃくちゃ面白いです!更新頑張ってください! (2020年6月29日 7時) (レス) id: 29052aa6a9 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 本当ですか…?良かったです…文才足りんと悩んでいたので… (2020年5月13日 21時) (レス) id: b5c026bc9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あるじゃん | 作成日時:2019年11月25日 0時