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へぇ。本当に、このカフェがAの……？
大通りから一本入ったそこは、
急に、ごみごみした都会から全然別のどこかへ離れたような錯覚を持たせる。
オープンテラスにはオレンジの光が当たっていて、
店全体をまぁるく写し出すような柔らかさがあって。
“おかえり”…Aが、そう言ってくれているような気さえした。
中の様子が見たくて、テラス側から見えるその奥を覗き込んだけど
店員が暇そうに突っ立ってるくらいで、Aの姿は無い。
「久しぶり！聞いたよ、こんな店持ってすげーじゃん」
最初に何を言おうか……
つい小声で発しながら、思い切って店内に入ろうと入口に立った時。
ちょうど店から出てきた女が、そのまま空を眺めて……
視線を下げて俺と目が合うと、途端に俯いて早足で去って行った。
何？別に声かけようとか思ってないけど。
俺ね、今から感動の再会を果たすんだから───
自分でも随分浮かれてると思った。
だけどこうしていざ現実のものになると、高揚感は抑えられなかった。
「…いらっしゃいませ」
「あのさ。店長居ます？」
「はい？テンチョー……あの？」
「あ、俺は知り合い。古くからの、ね？呼んできてよ」
名前を名乗らなかったのは、もちろんAを驚かせるため。
俺はそのままテキトーに空いてる席に座って。
ラミネートされたメニュー表をぼんやり眺めて待つことにした。
───Aの字っぽいな、これ。
懐かしさに笑みが零れるのをうまく隠せず、ニヤニヤと店内を見渡す。
レジ近くにあるショーケース前の小さな黒板には、
“本日のケーキ”なんて、名前の一覧が書いてある。
あれも、Aの字か……
まさかあいつ、ケーキ作ってんの？不器用だったくせに？
今から会える嬉しさも手伝って、クッと笑いが止まらない。
さっきから気持ち悪そうに見てくる奴の視線も感じるけど。
その視界は、間に店員が入ってやっと遮断できた。
「えっと。もうすぐ来るそうです」
「ありがと。じゃ、とりあえず珈琲ちょうだい」
俺はゆったり脚を組んで、運ばれた水に口をつける。
このグラスひとつにしても…Aが選んだのかな。
なかなかセンスいーじゃん、そう言ってやろう。
再びこっちをチラ見する、ゲームしかやってなさそうなヒョロ男が気になるけど。
……こんな客でも、Aに貢献してるんだからね。ま、いいんじゃない？
わざとらしく微笑んでやったら、そいつはウワーと目を逸らして体を揺らした。
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璃桜(プロフ) - 初めて読ませて頂いた作者の方もいて色んな作風が読めて楽しかったです。ゆったりとした雰囲気が儚くちょっと切なく感じました。またコラボの企画があったら読みたいと思いました！これからも応援しています！ (2016年12月12日 21時) (
レス) id: 18ebc3f5e6 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - reiさんのお話、ぐっときてしまいました。やっと自分の気持ちに気がついたのにすれ違いでもぅ会うコトもままならないなんて。後悔をして愛を知るなんて。悲し過ぎる。甘いお話も好きですがたまに涙して毒気を抜いてます。これからも楽しみにしています！ (2015年9月23日 14時) (レス) id: cc888f66ce (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - つむさんのお話大好きです。泣けてしまいました。また素敵なお話読むの楽しみにしてます！ (2015年9月23日 13時) (レス) id: cc888f66ce (このIDを非表示/違反報告)
かしゆか(プロフ) - この作品面白かったです！ところでつむさんに質問なんですけどパスワード解除したりはしないんですか？ぜひつむさんの作品を見たいのですが･･･ (2015年9月15日 0時) (レス) id: a67ea852ce (このIDを非表示/違反報告)
Ame(プロフ) - 5人の作者様のお話がそれぞれ重なりあってて、すごくおもしろかったです。感動しましたし、お腹いっぱいになりました。また是非このような企画があることを楽しみに待ってます！ (2015年4月23日 0時) (レス) id: 8bdb99006e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：tomyummy
x他3人 | 作者ホームページ：
作成日時：2015年4月2日 23時
