第4話「彼女の秘密」 ページ8
博士「ジッとしててね」
「…」
私は腕を差し出して、博士の言う通りジッとしていた。
その腕にプスリと刺さる、注射。
私はそれをジッと見ていた。
“もう”痛みさえ感じない。
中に入る液体の感覚。
博士「はい、終わり」
博士はそう言って私の腕に絆創膏を貼った。
私はその腕を摩る。
一体、この注射の中身はなんなのだろうか。
スミーさんは言ってた。
“前の実験で君の不老不死の研究が進んだ”って。
でもあれとどう関わりがあるの？
この注射はなんのため？
透明な液体には、この施設の未来でも詰まってるのだろうか。
博士「さあ、部屋に帰りましょう」
私はそう言われて手を引かれた。
私はその手に大人しく引かれ、研究室から出た。
相変わらず誰もいない廊下。
窓もない。だけれど唯一ある窓が、わたしの部屋のそばにある。
そう、最初に見つけた窓。
あそこからはいろんな研究員も見えたこともあった。
目新しい発見はないけれど、いつもこうやって見てる。
わたしはいつものように通り過ぎる間にパッとその窓を見た。
「…？」
でもわたしはピタッと足を止めた。
博士もそんなわたしに驚いて足を止める。
わたしはジッと窓の向こうを見ていた。
博士も一緒になって見ている。
わたしが気になったのは…
「…博士、あの子誰？」
博士「えっ…？」
そう、窓の向こうには研究員でもない。
鬼でもない。だからと言ってわたしのような実験体ではない。
私と同い年ぐらいの男の子が、
綺麗な服を着ていた。
その子は男の子って分かったけれど、
ここからじゃうまく見えない。
わたしは博士にそう言ったけれど博士は首をかしげた。
博士「…？…ここに映ってるのは貴方よ？」
「え？」
博士はそう言って私の肩を掴んだ。
私は驚いて目を見開く。
映ってるのは私…？
鏡のように映ってるって言うこと？
博士には、この窓の景色は見えないの…？
「！…な、なんでもない。
行こう、博士」
博士「…ええ」
私はそれに気づいて博士の手を引っ張る。
博士が私の異変に気付くのを恐れたから。
でも博士は不思議そうに私を見つめていた。
私は博士の手を引っ張りながら目を抑えた。
一体、どうなってるの…？
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菜々美(プロフ) - この作品良すぎて涙出てきたわありがとう作者、、、 (9月11日 23時) (
レス) @page43 id: 8f4a0109ee (このIDを非表示/違反報告)
７4 - 20ページのバイヨン卿視点のお話に出てくるレウウェス様、多分お名前間違えてるかと…。レウウィス様だったと思います…。このお話大好きです、まだ読んでる途中ですけど…めっちゃ好きです…！！ (2022年7月1日 11時) (レス) @page20 id: 104d8d46f2 (このIDを非表示/違反報告)
(^▽^)/ - とても面白かったです (2019年12月7日 14時) (レス) id: fe1c8c1f22 (このIDを非表示/違反報告)
消しかす(プロフ) - 雪さん» そう言ってもらえると嬉しいです！恋、かもしれませんね…！ (2019年4月13日 21時) (レス) id: 855de7cb2f (このIDを非表示/違反報告)
雪 - ああーー、、、この作品が好きすぎて胸がキュッって痛くなる、、、。これは、まさに、恋、、、？！ (2019年4月13日 1時) (レス) id: 63b96624ad (このIDを非表示/違反報告)
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