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1話「知らない子供達」 ページ2

『お茶会にしましょう。
毎日穴倉生活じゃ気が滅入るもの。

1日の最後はちょっぴり、贅沢するの』




あの時、あの場所へと行かなければ。
貴方達を失わずに済んだのに。




『逃げろ!!ユウゴ!!A!!』




飛び散る赤い液体。
バタバタ倒れる仲間。


憎い。
仲間を殺した鬼が。


憎い。




仲間を見捨てた自分が今こうして生きていることに。





「…」




そこで、目が覚めた。
私は冷や汗が流れる額に手を当て荒くなった呼吸を整える。



また、あの夢だ。



私はベットのシーツを握りしめ大きくため息をついた。





あれから13年。
私は…生きてしまった。



いいや、生かされたんだ。



私は膝を抱えて頭を抱える。



毎日毎日、自分を責める日々。
私がもしあそこで勝手な行動をしなかったら。
あそこでみんなを見捨てなかったら。



?「起きたか」

「!…ユウゴ」




私はハッと意識を取り戻して、その声の方向に顔を向ける。
そこには扉に寄りかかっているユウゴの姿。

ユウゴは背中に銃を抱えていた。
私はそれを見て慌ててベットから出てユウゴに近づいた。




「食料の調達なら私も行くよ」

ユウゴ「いや、いい。
風呂でも入っとけ。

汗すごいぞ」




ユウゴはそう言う。
鍛えたゴツゴツした手が、私の頬を撫でて汗を拭き取る。
私はそんなユウゴに眉を寄せる。

ユウゴなら、分かるんだろうな。
だから今日は起こしてくれなかったんだ。



「でも…」

ユウゴ「たまには休んどけ。
夜前には帰る」




ユウゴはそう言って頭をくしゃっと撫でた。
私はそんなユウゴに頬を膨らます。

また子供扱いするんだから…
私は背中を向けて出て行こうとするユウゴに声をかける。



「ユウゴ!…行ってらっしゃい」

ユウゴ「…ああ」



ユウゴは背中を向けたままだけれど、
私の声を聞くと一旦止まった。

そしてひらひら手を振って、
ハシゴを登ってシェルターから出た。

私は胸騒ぎする胸元を抑えた。
何もないといいけど…



ユウゴは、あれから魂が抜けたみたい。
みんなを引っ張って、責任感ある人。
そう、昔はそうだった。

私は壁伝いに廊下を歩く。
そして扉が開いていた部屋に目を向けた。



「…大丈夫。ユウゴだもん」



荒れた部屋。壁には“HELP”の文字が壁一面に書かれている。
そのど真ん中に大きく書いてある、“Pochers”の文字。



「…ごめんね。」



私はそう呟いて拳を握りしめた。


ああ、私はどうして生きてるのだろうか。

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あまね(プロフ) - 終わってる (2023年1月26日 20時) (レス) @page32 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
- 続きずっと待ってます! (2023年1月6日 20時) (レス) @page32 id: 8441e4cc3e (このIDを非表示/違反報告)
夕凪 - 約ネバの夢小説の中で1番好きです。ずっと待ち続けます。 (2020年11月19日 23時) (レス) id: a8aec2e377 (このIDを非表示/違反報告)
エマ - 続きが読みたいです!! (2020年9月3日 21時) (レス) id: 5f014d6a1f (このIDを非表示/違反報告)
ユウゴ - とても面白かったです!続きを早く読みたいです。楽しみに待ってます! (2020年8月10日 7時) (レス) id: 5f014d6a1f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:消しかす | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年3月24日 0時

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