【銀魂】沖田隊長、約束をしましょう【沖田総悟】

約束をしましょう ページ43

沖田隊長は、私に言ってくれた。私はもう大丈夫だと。戦場に立って、剣を握って戦っていけると、そう言ってくれた。私の力を認めて、受け入れて、頷いてくれた。沖田隊長が今まで私のことを見ていなかったとして、そのことから逃げていたのだとして。それでも今は、こうしてしっかりと向き合い、見つめて、きっと彼の中で幾度となく繰り返された葛藤の末に、私は彼に許された。彼の隣で、彼の背中を護ることを。真選組として、一番隊副隊長として、彼の部下として、そこに立つことを。

それで、いいんだって、私はそう思う。彼が、彼のしてきたことを間違いだと思い、悔やんで悔やんで苦しんでしまう気持ちは、多分私が何を言っても、どんな言葉を伝えても変わらないのだろう。彼の抱えた後悔は彼のものであって、私がどうこうできるものではない。けれど、私にとってはただそれだけで、彼を許せる理由になり得る。最も、彼のことを責めるなんてことは有り得ないのだけれど。感謝しえど、責める理由なんてない。

けれどそれは私の見解で、私の目の前にある彼の顔はまだ曇ったままだ。彼に似合わない歪んだ表情が、まだそこにある。まだ彼は、少しも自分を許せていない。


だから、私は続ける。少しでも彼の表情が和らぐように。少しでも自分を許せるように。いつもの彼に戻ってくれるように。


「それに、沖田隊長。約束っていうのは、お互いが覚えている限り、いつまでだって成立するものだって、私は思います」

「A…」


私は、ずっと覚えている。忘れたことなんてない。


『貴方の隣で、貴方を護らせてください』


必ず、今よりもっと強くなる。強くなって、彼のことを護るんだと。護らせてくださいと、私はそう言った。そして、沖田隊長も。


『この先、俺ァお前を護ってく。だから
……傍に、居てくれねェですかィ』


…私達は、お互いがお互いを護り、共に生きていくことをその時に誓った。


言ってみれば、それは、私達の約束。


「私達の約束は、まだ終わってないです」


小さく微笑みながらにそう言えば、彼の赤い瞳が微かに見開かれる。その目がなんだか眩しくて、私は目を細める。そうして、告げる。『だから、改めて、」と。


「沖田隊長、約束をしましょう」


お互いがちゃんとそれを覚えていて。けれど、お互いの臆病や怯えや、どうしようもなく強い感情から、果たすのが遅くなってしまった約束を、また。


「私達は、お互いを護り合って、背中を預け合って、そうやって、二人で生きていきましょう」


お互いがお互いの手を離さないのなら、一人になりはしない。

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