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第56話 大好きだよ ページ8

ノーマンside

ノーマン「エマ…」

エマの手を握って、微笑む。

ノーマン「ありがとう。」

エマ「うん…」

ノーマン「騙してごめん。」

エマ「うん…」

ノーマン「ケガ…増やさないでね。」

エマ「うん…」

ノーマン「無茶のしすぎも。」

エマ「うん…」

ノーマン「ちゃんと食べてね。」

エマ「うん…」

ノーマン「脱獄(あと)を頼む。」

エマ「うん…」

僕は、エマを引き寄せた。

ノーマン「大丈夫。絶対諦めないでね。」

エマ「うん…」

エマの返事を聞いて、僕はママと一緒にハウスを出た。

ドン「A!?」

バンッ

ドンの声が聞こえたと同時に、ハウスの扉が勢いよく開いた。

そこには息を荒らげて、今にも泣きそうな顔で僕を見ているAがいた。

A「お兄ちゃん…行かないで…私を…一人にしないで…!!」

Aは、僕に抱き着いて、泣き出した。

A…

僕は、Aを抱きしめた。

ノーマン「大丈夫、Aは一人じゃない。エマやレイ、みんながいる。大丈夫、一人じゃないよ。」

僕は、Aを安心させるように、強く抱きしめた。

A「お兄ちゃん…」

ノーマン「A、笑って?僕は、Aの笑った顔が大好きなんだ。だから、ね?」

A「うん…!」

僕が微笑むと、Aは目に涙を浮かべて、ニコッと笑った。

ノーマン「A、今までありがとう…大好きだよ。」

僕は、いつも着ていたカーディガンを、Aの肩にかけて、もう一度強く抱きしめた。

A「お兄ちゃん…私も大好き…!」

Aも、僕を強く抱きしめてくれる。

ママ「ノーマン。」

時間だ。

行かなきゃ。

僕は、Aから離れた。

ノーマン「じゃあね、A。元気でね。…僕の分まで、生きて。」

僕がそう言うと、Aは笑顔を崩しそうになった。

A「…うん!」

Aは涙を堪えて、笑顔で僕を見送ってくれた。

────────────────

A『お兄ちゃん!』

────────────────

さよなら、A。

僕のたった一人の家族(・・・・・・・・・・)

ノーマン「さよなら…」

僕はそう呟いて、夜空を見上げた。

綺麗なはずの夜空は、なぜか霞んでいた。

第58話 兄がいない→←第56話 僕の決意を汲んで



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作者名:苺の花 | 作成日時:2019年6月11日 2時

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