第73話 イソギンチャク ページ25
ナット｢でも…上まで行った後は？逃げられるのか？追ってくる根に捕まる前に…あの天井から…｣
ギルダ｢…出られるのね？上まで行けば、天井から、みんなで
エマ｢うん！｣
ギルダ｢行きましょう、みんな！｣
ラニオン｢うん！｣
エマ｢さぁ、ここから出よう！｣
私達は木を登っていく。
アルヴァピネラの蛇は全て、洞窟の天井の岩から生まれ、増えていった。
そう、全て岩が化けてできた蛇だったんだ。
この木も同じ。
増え続ける壁の根は全て、天井から伸びてきている。
まるで、限りある岩を蛇に変えていくように。
上まで逃げて、下が
────────────────
ウーゴ『壁は薄くなっている。逃げるぞ、マーヴィン!!』
────────────────
エマ｢みんな、手伝って!!｣
ｷﾞｼｯ
アルヴァピネラの蛇から逃げるには、洞窟の天井に穴をあければいい。
どんな方法でもいい、難しくはない。
ｷﾞｼ…ｷﾞｼ…
ラニオン｢ひっ｣
ﾒｷ、ﾒｷ、ﾒｷ
ﾊﾞｷｯ
ﾋｭｳｩｩ
外は凍てつく北の海。
ﾊﾟｷ、ﾊﾟｷ、ﾊﾟｷ
蛇は寒さで眠ってしまう。
ﾎﾞｽｯ
ラニオン｢！本当に止まってる！｣
ドン｢うわっ、ここ寒っ!!｣
A｢出られた！｣
エマ｢やったー!!｣
恐れるな。
怯えず空を目指せれば、彼らに食われることは決してない。
ありがとう、ミネルヴァさん。
ｽﾞｽﾞ…
A｢っ！｣
エマ｢A!?｣
エマに本を預けて、私は音のした方に走った。
A｢何も…ない…？｣
気のせい…
レイ｢A、エマ！あったぞ！こいつがそうだ!!｣
レイの声に、私はみんなの所に戻った。
みんなは、
ナット｢えっと…何これ？｣
A｢
ドン｢えっ｣
レイ｢ウーゴの話に出てくるんだ。真水を貯め込むイソギンチャク。｣
ドン｢イソギンチャク!?｣
レイ｢見てな。｣
ｽｯ、ﾌﾟｼｭｰｯ
レイがイソギンチャクを切ると、中から水が飛び出てくる。
ドミニク｢あっ｣
レイ｢これは植物で“イソギンチャク”はただの譬えにすぎない。でも本の通りなら、この水は飲める。
いちいち川まで行かなくていい。
未知の環境で何より困るのは｢食べ物と水｣だ。
何が食えて、何が毒なのかすらわかんねぇからな。それについての情報を貰えるのはありがたい。｣
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作者名：苺の花 | 作成日時：2019年6月11日 2時
