【約ネバ】抗え。この世界の運命に。2 (ページ15)

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第64話兄からの手紙ページ15

ノーマン『親愛なるAへ。
この先の計画をここに記す。
レイは…死ぬ気だ。全ては僕とAとエマを殺させない為…そう言った。自分を数に入れていない。逃げる気がないんだ。初めから…このハウスで死ぬつもり。自分を燃やして火事を起こし、ママを引き付け、僕らを逃がす…それがレイの計画。
僕はそんなことはさせない…絶対に。だから、僕が考えた計画をここに記す。
決行は2か月後…おそらく、レイの誕生日の前夜。レイが仕掛ける火事を利用して…レイを救い、ママを出し抜き…みんなを連れて逃げるんだ。大丈夫…時間はある。それに、思い掛けない品も手にした。シスター･クローネからだ。僕の部屋の引き出しに入っている。
頼んだよ、A。どうか…エマを…レイを…みんなを…脱獄(あと)を頼む。
A、あの時の約束守れなくてごめんね。』

A『お兄ちゃ…』

私は、涙を流した。

ノーマン『A。』

ふと隣を見ると、いるはずのないお兄ちゃんが微笑んでいた。

ノーマン『A、悲しみに負けないで。笑って、強く生きて。』

お兄ちゃんは、私の手を握って、優しく微笑んだ。

A『…ありがとう、お兄ちゃん。私、もう泣かない…だから、安心して。』

私は涙を拭いて、お兄ちゃんのカーディガンを羽織った。

大丈夫。

お兄ちゃんが背中を押してくれた。

私は生きる。

お兄ちゃんの分まで。

こんなところで死ねない。

私は、お兄ちゃんの部屋の引き出しにある風呂敷を持って、エマの部屋に向かった。

ｺﾝｺﾝ、ｶﾞﾁｬｯ

A『ちょっといい？エマ──』