第51話 下見開始 ページ2
ここは農園。
私達は食料。
大人は敵。
脱獄する。
決行は6日
昼食の準備を整えると、フィルとママが食堂に入って来た。
シスターがいない？
A｢ねぇ、フィル。シスターは？｣
フィル｢お仕事があるんだって！｣
A｢へぇ。｣
席につき、手を合わせる。
全員｢いただきます。｣
みんなと口を揃えてそう言い、料理を口に運ぼうとした。
｢─────っ!!｣
A｢っ！｣
ｶﾞﾀﾝｯ
ノーマン｢A？｣
横を見ると、お兄ちゃんやエマ、レイが驚いていた。
もちろん、みんなも。
A｢お兄ちゃ…｣
ママ｢どうしたの？A。｣
A｢っ！｣
ママを見ると、不敵な笑みを浮かべていた。
A｢…何でもない！ごめんね、みんな！｣
私は笑って、席についた。
微かに聞こえたあの悲鳴は…シスターの…
止まって…止まって…！
私はテーブルの下で、震える手を握りしめていた。
昼食後＿
ノーマン｢脱獄決行は6日以内。でも、できるなら明日決行したい。
ママとシスターに動かれる前に──｣
A｢っ！｣
私は、シスターのことを言おうとした。
けど、言えなかった。
ノーマン｢発信器はもう壊せる。あとはこの｢下見｣を残すのみ。
行こう。下見を終えれば脱獄だ。｣
私とお兄ちゃん、エマは、ドンとギルダと別れて、塀に向かった。
A｢…｣
ノーマン｢A？｣
立ち止まった私に、お兄ちゃんが駆け寄って来る。
A｢お兄ちゃん…私…っ！｣
私が振り向くと、お兄ちゃんとエマも気づいたように、エマはロープを草むらに放り投げた。
ｻﾞｯ、ｻﾞｯ、ｻﾞｯ
森の中から現れたのは、ママだった。
エマ｢ママ…？どうしたの？｣
ママ｢10年…｣
エマ｢えっ｣
ママ｢10年、一緒に暮らしたけれど、お芝居抜きでお話するのはこれが初めてね。｣
エマ｢…？｣
ママ｢初めましてエマ、初めましてノーマン、初めましてA。｣
エマ･ノーマン･A｢…｣
ママ｢フフフ…ウフフフ…ほら、あなた達も楽にして。
大丈夫よ、私達だけ。周りには誰もいない。
何も知らないイイ子のフリなんて、しなくていいの。今ここでは、ただの飼育監と食用児。
でも、誤解しないでね。私はあなた達を愛している。大好きなの、本当に…我が子のように愛しているわ。だからこそ、諦めてほしくてここは来たのよ。｣
ノーマン｢…何を？｣
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作者名：苺の花 | 作成日時：2019年6月11日 2時
