第67話 最初の朝 ページ18
ドン「あと、6人!」
エマ「次ジェニマ、おいで。」
A「ジェニマ?」
ジェニマ「エマ…A…どうしよう…手が…」
エマ「!!」
ジェニマ「ごめんなさい、ごめんなさい…下が崖だって思ったら…もし落ちたらどうしようって…」
ラニオン「落っ…」
ジェニマの言葉に、トーマとラニが身震いした。
A「!!」
レイ「大丈夫。」
A「!」
レイ「大丈夫だ。一緒に渡ろう。」
レイは、ジェニマを抱っこして、ジェニマの頭を撫でた。
A「レイ…」
レイ「A、さっき皆を引き上げた時のロープあったろ。」
A「あっ、うん!」
レイ「それで、俺とジェニマを固定してくれ。」
A「降下の手順は?」
レイ「見て覚えた。わかってる。
お前らは?一人で平気か?」
ラニオン「っおう!アタボーよ!」
レイ「よく言った。じゃあ行くぞ、ジェニマ。」
レイとジェニマが渡って行き、トーマ、ラニ、私、エマ、全員が対岸に渡り切った。
ママ「行ってらっしゃい。気をつけてね。
──願わくば、その先に光がありますように。」
A「っ!」
私は、ママの声が聞こえた気がして、振り返った。
レイ「A、行くぞ。」
エマ「Aー、置いてくよー!」
A「待ってよー!」
私は、みんなを追いかけた。
さよなら、
行ってきます、ママ──
あの日から3か月。
私は今、生きて「外」にいる。
たとえ、「外」が鬼の社会でも、私はみんなと生きる。
──お兄ちゃんの分まで。
ドン「見ろ!」
ザッ
A「!」
森を抜けた私達を待っていたのは、眩しいほどの朝日だった。
エマ「最初の朝だ。」
2046年 1月15日
グレイス=フィールド
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作者名:苺の花 | 作成日時:2019年6月11日 2時