第62話 死なす気ないから ページ13
エマ｢待って…｣
エマは、レイに駆け寄ろうとする。
レイ｢動くな。｣
レイに制されて、エマは立ち止まった。
レイ｢いいかエマ、A。チャンスは一度きりだ。
うまくやれ。俺の命も、ノーマンの命も、無駄にするなよ…頼むから。
あ…そうだ、忘れるところだった。やるよ。｣
レイは、エマに本を渡した。
エマ｢これ…｣
エマは本を開き、涙を浮かべる。
レイ｢例の
A、これはお前にやるよ。｣
レイから渡された写真を見て、私は涙が止まらなかった。
A｢うっ…｣
私は、写真を抱きしめた。
ｼｭｯ
A｢！｣
顔を上げると、レイはマッチに火をつけていた。
ﾎﾞｰﾝ、ﾎﾞｰﾝ
0時の鐘が、ハウスに響き渡る。
レイ｢時間だ。俺はこれで12歳。
呪いたい人生だったけど、お前らとの時間はすげぇ楽しかった。｣
エマ｢ダメッ…やめて…｣
レイ｢ありがとう。バイバイエマ、A。｣
レイは微笑んで、マッチを離した。
ﾊﾞｼｯ、ｼﾞｭｯ
A｢ッ！｣
私は走り出し、マッチを手でキャッチした。
レイ｢え｣
A｢へへん！ナイスキャッチ！｣
私は消えたマッチをレイに見せて、ニコッと笑った。
レイ｢お前…手…!!｣
A｢
｢ここじゃなくてもまだ死ねる｣、｢いいモノ見せてやるから黙って来い｣。｣
レイ｢は!?｣
A｢私達、わかってたんだ。レイがこうすること。
お兄ちゃん、全部気づいてたんだよ。出て行く前に。だから、止めろって言われてた。
悪いけど、死なす気ないから。｣
レイ｢！｣
A｢私とお兄ちゃんとエマとあの子達が、レイのこと絶対死なせないから！｣
レイ｢!??｢あの子達｣？一体どういう…｣
ｺﾝｺﾝ
エマ｢来た！｣
エマは、扉を開けに行く。
ｶﾞﾁｬ
トーマ｢エマ、A、頼まれてた物持って来た！｣
ラニオン｢あと、みんなもう準備はできてるぜ！｣
エマ｢ありがとうトーマ、ラニ。｣
A｢じゃあレイ、着替えて。｣
レイ｢!?｣
A｢説明は後。
全てはお兄ちゃんの計画通り。逃げるよレイ。｣
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作者名：苺の花 | 作成日時：2019年6月11日 2時
