第60話 火事を起こす ページ11
レイ「待て、昼に出るのか?
無茶だろ、
俺は出るなら、夜だと思う。
まぁ聞け。座りなよ。」
レイに促され、私とエマは椅子に座る。
レイ「いいか?塀の先は崖だった。崖からは降りられない。逃げるなら「橋」から。でも、その「橋」は一つだけ、しかも
これが今、俺達が置かれた状況だ。
で、問題は2つ。1、ママの目と、2、橋の警備。」
エマ「1、ママの目で問題なのは、「私達への監視」と「常に
昼間もそうだし、ママは夜も赤ちゃんと同じ部屋。」
レイ「そう。だからまず、逃げる時にはママの監視を振り切って逃げなきゃならねぇし、ママとチビ達を切り離さねぇ限り、全員での脱走は難しい。
次に2、橋の警備。唯一の道だ。元から見張りは置いてるだろうし、脱走騒ぎが起きりゃ、必ず警備が殺到する。そうでなくても、本部の先だ。近くにあの化物がウジャウジャいる。
つまり、ママに止められたら終わり。本部へ脱走の通報をされたら終わり。橋で見つかったら終わり。まぁ、普通諦めるしかねぇ。
さぁ、どうする?俺はこれが一番だと思う。」
──オイル?
レイ「夜、ハウスに火をつける。」
エマ「…火事を起こすってこと?」
レイ「そうだ。
ママが消化に手を取られている隙に、「避難」って形で全員を連れ出す。その際、地下室へ続く扉の鍵穴に粘土でも何でも詰めちまえ。ママはそれで通報できない。
それで、本部にはあくまで「火事」と思わせる。「脱走」じゃなく。
そうすれば、警備は「橋」へ向かない。少なくともしばらくは。
そして、夜なら姿も隠しやすい。
あと、オマケでもう一つ用意した。火炎瓶10本、森の中“死角になる岩”の陰に隠してある。」
エマ「火っ炎瓶!!?」
レイ「6年ごしの準備ナメるなよ。
で、
上手く行きゃ、
夜だから森に誰もいない、誰も死なない。
さぁ、明日と言わず、今夜、今逃げよう。
A「ドンとギルダは多分…今もまだ起きてる。
レイ「エマ、足は?」
エマ「大丈夫!」
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作者名:苺の花 | 作成日時:2019年6月11日 2時