第10話 発信器 ページ11
エマ「塀だ。」
A「よっと!」
木に登り、塀の上を見渡す。
ノーマン「どう?上に何かある?」
A「何もない!ただこの塀、幅が2〜3メートルあるよ!」
スタッ
エマ「…高いね。」
ノーマン「でも見張りはいない。
…静かだ。A、エマ、どう思う?」
エマ「堅くて丈夫、起伏どころか継ぎ目もない、おまけに表面はサラサラ。
普通こんなの
A「ロープ一本あれば、上れると思う!」
ノーマン「うん。この塀は越えられる!!」
エマ「次はロープ!」
A「あっ、お兄ちゃん、エマ!そろそろ戻らないと!」
私達は、
カランカラン
ママ「みんないる?」
ギルダ「あれ?2人足りない?」
ギルダ「いないのはナイラと…」
マルク「ママーッ」
ママ「マルク!何かあったの?」
マルク「どうしよう!森でナイラとはぐれちゃった!!いっぱい探したけど、見つからないんだ!!」
ママ「…大丈夫よ。」
ママは時計を見て、マルクに笑いかけた。
ママ「みんな、ここから動かないで。いいわね?」
ママはそう言うと、森の方に歩いて行った。
しばらくすると、ママが帰ってきた。
ナイラを抱えて。
フィル「ママ!」
マルク「ナイラ!」
ママ「疲れて眠っちゃったのね。ほら、ケガ一つないわ。」
マルク「よかったぁ…ごめん…!ごめんね、ナイラ…」
ノーマン「早すぎる…」
A「え?」
ノーマン「ママはまるでナイラがどこにいるか、わかっているみたいだった。」
──そういえば、昔からママは私達を見つけるのが得意だった。
どこにいても見つけてしまう
あれは時計じゃない…
エマ「発信器…」
A「私達の体のどこかに埋められているのかもしれない。」
だとしたら脱走の決行──いや計画がバレた時点でアウトだ。
しかもママはわざとわかるように見せた。
ママは気づいている。
リトルバーニーが
“
誰であろうと逃がさない。
ママが言いたいのは多分そういうことだ。
心のどこかで信じてた。
ママは同じ“人間”で、
優しいママは全部ウソ。
何もかも、鬼に食べさせるための芝居。
ノーマン「親でも同じ“人間”でもない…ママは
8人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:苺の花 | 作成日時:2019年6月6日 2時