91.会いたかった ページ45
No Side
「お返事ありがとう、すぐに書いてくれたんだね」
『うん……』
「『あいたい』って言ってくれて、すごく嬉しかったよ」
『わたしも……おてがみ、うれしかった』
「夏も嬉しそうだったよ。ね」
「あーその……うん、ありがとう」
『えっと……うん』
ギクシャクと、お互いに距離感を測りきれてないような雰囲気に焦凍は思わず苦笑する。
Aは落ち着かなそうにキョロキョロと視線を泳がせていて、冬美は言葉を探すように両手の人差し指をくるくる回し、夏雄はAと冬美を交互に見ている。
自分が何か振らなければ話が進まないかと思った焦凍だったが、その前に冬美が大きく深呼吸をして言った。
「……A、ぎゅーしてもいいかな……？」
Aはパッと冬美を見て、ぎゅっと口を結んだ。
その目にジワジワと涙が溜まっていき、Aは何度も大きく頷いた。
冬美も瞳を潤ませ、ゆっくりAを抱きしめた。
「会いたかった……ずっと会いたかった……ごめんね、辛かったよね、ごめんね……！」
お互いの頬がどんどん濡れていく。
Aは何も言わず、ただ冬美の背中にめいっぱい腕を伸ばして抱きしめ返していた。
少し落ち着いた冬美は、Aの涙をハンカチで優しく拭って笑った。
「変な感じだね。今の年齢差じゃ、姉妹って言うより母娘に近いよ」
『ふゆねえ、いまなんさい？』
「22歳だよ。……あ、それじゃあ16のときに産んだことになっちゃうな……」
えへへ、とよく似た笑顔で笑い合う二人。
さっきよりずっと距離が縮まっていた。
しかし、夏雄はあまり会話が出来ていない。
まだどこか居心地悪そうにしている。
「ほら夏」
それに苦笑した冬美は夏雄に手招きをして、Aと向かい合わせた。
Aはじっと夏雄の目を見上げている。
「えっと……手紙ありがとう……？」
『……？ うん、さっきもいってたよ……？』
「そ、そうだな……その……俺も会いたかった……」
『……うん、わたしも』
「えーっと……ううん……」
お互いに話題を探すようにキョロキョロする二人。
冬美と焦凍は顔を見合わせて苦笑した。
夏雄は距離感を掴めないままいろんな話題を出し、Aはそのおかけでだんだんと夏雄に慣れてきたようだった。
少しずつ二人の微妙な空気感も無くなっていき、Aを膝に乗せて話せるくらいまで距離が詰まった。
それに嬉しさとちょっとのジェラシーを感じた焦凍だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 282人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あや(プロフ) - めいめいさん» めちゃくちゃ健康的で何よりです笑 これから結構怒涛の展開になる予定なので、ぜひぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです！！ (1月10日 22時) (
レス) @page26 id: 021ff3b1be (このIDを非表示/違反報告)
めいめい(プロフ) - あ''ーマジ泣く これからの展開が楽しみ過ぎて夜しか眠れん (1月10日 22時) (レス) @page26 id: 19d12ec8ba (このIDを非表示/違反報告)
冬美(プロフ) - あやさん» 出来てよかったです！ (12月8日 17時) (レス) id: cc8a597751 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 冬美さん» 出来ました〜！！ 本当にありがとうございます…！！😭✨ (12月8日 14時) (レス) id: 6508c9a6a6 (このIDを非表示/違反報告)
冬美(プロフ) - たしか*←だったと思います！ (12月8日 10時) (レス) @page14 id: cc8a597751 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月木あや | 作成日時：2023年11月7日 20時
