90.再会 ページ44
クラスメートたちからもたくさん声をかけられ、Aは朝からずっとご機嫌だった。
ルンルンのAを眺めながら朝飯を口に運んでいると、隣りに座っていた緑谷が小さな声で言った。
「お姉さんとお兄さん、今日だよね？」
二人が来ることは、クラスメートたちには事前に話てある。
頷いた俺を見て、緑谷はチラッとAを見た。
「……大丈夫かな」
「……多分大丈夫だ」
「……ちゃんと話せたらいいな」
「そうだな……心配かけて悪い」
「そんなことないよ、むしろあのとき僕が話題振っちゃったのが原因なわけだし……」
「でもそのおかげでちゃんと話せて、むしろ良かったと思う」
「それならいいんだけど……」
緑谷は眉を下げて笑い、皿を片付けに席を立った。
午前中はAの遊び相手になったり勉強したりしていたが、時間が気になって仕方がなかった。
そんな俺にAも違和感を覚えたらしく、『しょうとだいじょうぶ？』と聞かれた。
昼食を取って、やっときた約束の時間。
半日が異常に長かった気がする。
飯田が二人を部屋まで連れてきてくれる話になっているため、俺とAは部屋で二人を待つだけ。
何も知らないAは、鉛筆を握りしめてひらがなとカタカナの練習をしている。
『みてみてしょうと、「ぬ」じょうずに――』
かけたよ、とAが言いかけたとき、ドアが2回ノックされた。
俺は一つ深呼吸をしてドアを開けた。
案の定そこには飯田が、そしてその後ろに姉さんと夏兄の姿があった。
俺は飯田に礼を言ってから二人を中に入れた。
Aはノートに夢中でまだ気がついていない。
姉さんはゆっくりとAに近づき、少し離れたところに座った。
その隣に夏兄も続く。
そして――
「――A」
するはずのない女性の声に、Aはきょとんとした顔を上げた。
その視界に二人を捉えた瞬間、その目が大きく見開かれた。
『……ふゆねえ、なつにい……？ ……え、なんで……』
「突然来てごめんね。焦凍に頼んで事前に許可をもらってたの」
『えっと……うん……』
よほど驚いたAは、俺をチラチラ見ながら頷くのが精一杯だった。
でも、パニックになったり怖がったりする様子はない。
まず一安心。
姉さんと夏兄も緊張しているようで、すぐに言葉が出てこない。
何度か深呼吸し、姉さんは恐る恐る言った。
「……近く、行ってもいい？」
Aは一度俺を見てから、小さく頷いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 283人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あや(プロフ) - めいめいさん» めちゃくちゃ健康的で何よりです笑 これから結構怒涛の展開になる予定なので、ぜひぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです！！ (1月10日 22時) (
レス) @page26 id: 021ff3b1be (このIDを非表示/違反報告)
めいめい(プロフ) - あ''ーマジ泣く これからの展開が楽しみ過ぎて夜しか眠れん (1月10日 22時) (レス) @page26 id: 19d12ec8ba (このIDを非表示/違反報告)
冬美(プロフ) - あやさん» 出来てよかったです！ (12月8日 17時) (レス) id: cc8a597751 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 冬美さん» 出来ました〜！！ 本当にありがとうございます…！！😭✨ (12月8日 14時) (レス) id: 6508c9a6a6 (このIDを非表示/違反報告)
冬美(プロフ) - たしか*←だったと思います！ (12月8日 10時) (レス) @page14 id: cc8a597751 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月木あや | 作成日時：2023年11月7日 20時
